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二重生活
第18章 存在論
「キスは、出会ってすぐだった……スペイン料理を食べに行って、そこでしたの」
「その日にってこと?」
「うん……。そのお店の席で、私デキャンタとグラスで手が塞がってて、不意打ちで」
「キャーなにそれっ、ヤバいやつだね」
「ドキドキが止まらなかったよ」
「それは、濃厚なやつですか?」
「ううん、一瞬だった。でも……なんか、……やだ恥ずかしいな……」
「だーめ、全て話す約束だからね? でも?」
「一瞬だったのに、唇が……熱くて……」
言いながら、頬が赤らむのを感じていた。
「で?」
「こんなの何でもないみたいなふりして会話したあと、トイレに逃げた。もー、トイレから出られないって思った」
「ピュア!」
沙織はケラケラと笑った。
「それで、その勢いでお泊まり?」
「ううん、その日はそのあとティーサロンでハーブティー飲んで帰った」
「なんで、そーなるわけ?」
「私、トイレから出たらお会計して帰るつもりだった。でも、彗君がお会計済ませてくれてて、二軒めご馳走してって。それで、ティーサロンに連れていってくれたの。
いろいろな話して、ハーブティーのことも教えてくれて、すごく癒される時間だった」
「わー、なんか、キスまでは強引なのに、酔ったあとはこっちのこと考えてくれてるって感じ、それは気持ち持ってかれちゃうねっ」
「そうかもしれない」
「それでそれで?」
「それでね……」
鞠香は、グラスのワインを飲み干したあと、それからのことを話はじめた。
家に遊びに来た日、お店や花見で男の人に無理矢理されそうになったこと、彗君の部屋に行ったことや、二人きりのお花見、そして、つい最近雄一がお店に来た日のこと……
「その日にってこと?」
「うん……。そのお店の席で、私デキャンタとグラスで手が塞がってて、不意打ちで」
「キャーなにそれっ、ヤバいやつだね」
「ドキドキが止まらなかったよ」
「それは、濃厚なやつですか?」
「ううん、一瞬だった。でも……なんか、……やだ恥ずかしいな……」
「だーめ、全て話す約束だからね? でも?」
「一瞬だったのに、唇が……熱くて……」
言いながら、頬が赤らむのを感じていた。
「で?」
「こんなの何でもないみたいなふりして会話したあと、トイレに逃げた。もー、トイレから出られないって思った」
「ピュア!」
沙織はケラケラと笑った。
「それで、その勢いでお泊まり?」
「ううん、その日はそのあとティーサロンでハーブティー飲んで帰った」
「なんで、そーなるわけ?」
「私、トイレから出たらお会計して帰るつもりだった。でも、彗君がお会計済ませてくれてて、二軒めご馳走してって。それで、ティーサロンに連れていってくれたの。
いろいろな話して、ハーブティーのことも教えてくれて、すごく癒される時間だった」
「わー、なんか、キスまでは強引なのに、酔ったあとはこっちのこと考えてくれてるって感じ、それは気持ち持ってかれちゃうねっ」
「そうかもしれない」
「それでそれで?」
「それでね……」
鞠香は、グラスのワインを飲み干したあと、それからのことを話はじめた。
家に遊びに来た日、お店や花見で男の人に無理矢理されそうになったこと、彗君の部屋に行ったことや、二人きりのお花見、そして、つい最近雄一がお店に来た日のこと……