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二重生活
第18章 存在論
沙織は、彗君とのセックスに興味津々だった。

鞠香も普段なら照れくさくて言えないような言葉も、酔いとキャンドルのささやかな灯りの中でなら、赤裸々に口にすることができた。

言葉にすることで、彗君がもっと愛しくなるのが不思議だった。


「私、ずっと寂しかった。もっと、必要として必要とされて、私じゃなきゃダメだって、愛されて生かされて……誰かの唯一の人になりたかった」

「彗君はそう思わせてくれるの?」

「私ね、彗君とそういうことになって、はじめて涙が出るくらい感じたの。一つに溶け合うみたいな、すべて解き放たれて委ねられるような、不思議な感覚だったの」

「そうなんだ……」

「恥ずかしい言葉もいっぱい言っちゃったし、言われたけど、恥ずかしいより嬉しくて、身体が熱くて、もっともっとって、求めてた」

「鞠香……なんだか、ますます綺麗になったもん。色っぽくなったもん。それは、彗君のおかげなんだね」

「ありがとう……私、はじめて自分から人を好きになったのかも……。頭のなか、彗君でいっぱいで、会えると嬉しくて、触れたくて、何でもしてあげたくなるんだ……」

「そーなんだね。……うん! わかった! 応援するよ。いつでも話聞くし、何でも話して」

「ありがとう。心強いよ。沙織には、感謝してる。彗君と出会えたのも沙織のおかげだしね」

沙織は笑って、鞠香のグラスにグラスを軽くぶつけた。

(やっぱり話してよかった)

誰からも祝福されない、隠さなければいけない思いだからこそ、こうして話せる友達の存在の大きさを感じていた。

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