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二重生活
第19章 春眠
朝食の時押し殺した感触が、また生々しく蘇ってきていた。

下半身に生まれた痺れと疼きは、おさまりそうもなくて……。

うつ伏せになり、指先で突起を押さえた。
お尻をくねらせて刺激をすると、放射線状に快感がひろがっていく。

左手で乳首を摘まむと、後ろから彗君にされているみたいで、蜜が溢れ出てくるのがわかった。


(鞠香さんエッチな顔してる……)
挿入されながら囁かれた言葉を思いだし、録画ボタンを押して全身が写るようにケータイを置いた。

彗君のあの漆黒の瞳に、自分がどう映っているのか知りたかった。
いつも、訳がわからないうちに波に飲み込まれ、乱れてしまうから……。



目を閉じて、それからしばらく快楽に溺れた。
耳にかかる声と、舌先の感触を思い出しながら。


いつのまにか、声が出ていた。


…………ンッ……ア……ッ……



登り詰めて、我にかえり、少し躊躇ったけれど、思いきって再生ボタンを押した。




そこには、見たことのない蕩けきった表情で快楽を貪る女の姿が映っていた。

身体を波打たせ、突起に指を擦り付け、剥き出しになった乳首を弄る姿が。

それは、顔を背けたくなるくらい、いやらしくて貪欲なメスの姿だった。



だけど、同時に、
すまして鏡に映っている自分よりも、
にっこりと笑いながら写真に映っている自分よりも、
本能が剥き出しのその自分のほうが、生命力のような光を放っているような気もした。

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