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二重生活
第19章 春眠
まどろみの中、彗君が家を出る時間を教えるアラームが鳴った。

〔彗君、おはよう。いってらっしゃい。気を付けてね>



送信……。



こういうふうに、習慣は始まっていくのかもしれない。




広いベッドで昂る身体を慰めていた、以前の鞠香。

今、身体を鎮めたあとに残るのは、圧倒的な恋しさと、離れていても二人でいるような、繋がっているような、そんな幸福感だった。

<ありがとう。なんか、すげーやる気出る。行ってきます。頑張ってくる〕

彗君の手だと思いながら電話を握りしめ、鞠香はまた、まどろみの中へ落ちていった。







♪~♪~♪♪♪~


…………

チャイムが鳴っている。

こんな時間の来客は珍しい。
届いた荷物は、すべて宅配ロッカーに入れてもらうようにしているし……。

まだ働かない頭で考えながら起き上がり、インターホンへ向かった。

(誰だろう……)
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