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二重生活
第24章 眠り姫
時計の針が、3時半を指している。
少しだけ横になってくる、と雄一がベッドルームに消えてから、30分以上が経っていた。
朝から動いている鞠香にも、ずいぶん前から睡魔が襲ってきていた。
「二人でゆっくりしていく? 私も眠くなっちゃったよ……」
そう言うと、
「じゃあ俺、帰りますよ」
リョウ君が言い、沙織がとろんとした目で
「二人ともいなくなっちゃうの……」
と泣きそうな声をあげた。
(困ったな……)
「……ちょっと、雄一を起こしてみるね」
交代してほしくて雄一を呼びにいったけど、耳元で声をかけても揺すっても、起きそうもなかった。
(もう……雄一が決めたことなのに……)
やっぱりお開きにしてもらおうとリビングに戻る。
だけど、
「あと1時間したら帰るから、それまで飲もう。ね? お願い」
「それだったら付き合います」
そんな会話の中で帰ってほしいとは言えず、仕方なく椅子に座った。
ぼんやりとグラスを持ちながら、彗君のことを考える。
ここで二人で飲んだとき、本当に幸せだった。
キスをして、初めて身体に触れられて、お酒と甘いケーキに酔いしれた。
罪悪感で泣き出してしまった鞠香を抱き寄せてくれた、優しい腕……。
「沙織さん? 沙織さーん」
ハッと我に返ると、テーブルに突っ伏した沙織の肩をリョウ君が揺すっていた。
「沙織! 沙織!?」
焦って声をかける。
「うーん……
気持ち悪い……」
沙織はフラフラ立ち上がるとトイレに向かう。
付き添う鞠香に大丈夫大丈夫と言うと、中に入ってしまった。
「沙織!? ねぇ、お水飲もう? 鍵を開けて」
鍵が閉まったドアをドンドンと叩いた。
(一人にしないで……お願い……)
「沙織!」
それでも、返事はなかった。
(雄一……起こさなきゃ)
少しだけ横になってくる、と雄一がベッドルームに消えてから、30分以上が経っていた。
朝から動いている鞠香にも、ずいぶん前から睡魔が襲ってきていた。
「二人でゆっくりしていく? 私も眠くなっちゃったよ……」
そう言うと、
「じゃあ俺、帰りますよ」
リョウ君が言い、沙織がとろんとした目で
「二人ともいなくなっちゃうの……」
と泣きそうな声をあげた。
(困ったな……)
「……ちょっと、雄一を起こしてみるね」
交代してほしくて雄一を呼びにいったけど、耳元で声をかけても揺すっても、起きそうもなかった。
(もう……雄一が決めたことなのに……)
やっぱりお開きにしてもらおうとリビングに戻る。
だけど、
「あと1時間したら帰るから、それまで飲もう。ね? お願い」
「それだったら付き合います」
そんな会話の中で帰ってほしいとは言えず、仕方なく椅子に座った。
ぼんやりとグラスを持ちながら、彗君のことを考える。
ここで二人で飲んだとき、本当に幸せだった。
キスをして、初めて身体に触れられて、お酒と甘いケーキに酔いしれた。
罪悪感で泣き出してしまった鞠香を抱き寄せてくれた、優しい腕……。
「沙織さん? 沙織さーん」
ハッと我に返ると、テーブルに突っ伏した沙織の肩をリョウ君が揺すっていた。
「沙織! 沙織!?」
焦って声をかける。
「うーん……
気持ち悪い……」
沙織はフラフラ立ち上がるとトイレに向かう。
付き添う鞠香に大丈夫大丈夫と言うと、中に入ってしまった。
「沙織!? ねぇ、お水飲もう? 鍵を開けて」
鍵が閉まったドアをドンドンと叩いた。
(一人にしないで……お願い……)
「沙織!」
それでも、返事はなかった。
(雄一……起こさなきゃ)