この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
二重生活
第4章 初めて
チョコレート色のシックな木の壁に、大きなガラス窓。
石タイルの階段を上がって扉を開くと、ふわりとハーブのいい香りに包まれた。
クラシックモダンなイギリスアンティークの、上品で落ち着いた素敵な店内。
暖炉で薪がはぜる音が、耳に心地よかった。
彗君が連れてきてくれたのは、意外にも、ハーブティーが飲めるサロンのようなお店だった。
二人は、暖炉の前のゆったりとしたソファ席に通された。
テーブルにはオールドローズが飾られ、優雅な香りを放っていた。
そして、薔薇の香りのするおしぼりと、ゴブレットに入ったハーブウォーターが運ばれてきた。
お酒を少し飲みすぎた鞠香にとって、それはとても心に沁みるものだった。
「さっきもし、どこに行きたいかって聞かれて、このお店を知っていたらここって言ったと思う」
「そか、よかった」
彗君は、鞠香を見て優しく微笑んだ。
隣の席でさっきよりずっと近くにいるけど、それがごく自然に思えるほど居心地がいいのは、お店の雰囲気なのか彗君だからなのか……どちらだろう。
沈黙すら、全然気にはならなかった。
「一人でゆっくり過ごしたいときに、ここに来るんだよね。深夜に癒される場所ってなかなかないから、かなり気に入ってる」
一人で来るお気に入りの場所に連れてきてくれたんだ……。
嬉しくなってしまうけど、それは内緒にしておこう。
石タイルの階段を上がって扉を開くと、ふわりとハーブのいい香りに包まれた。
クラシックモダンなイギリスアンティークの、上品で落ち着いた素敵な店内。
暖炉で薪がはぜる音が、耳に心地よかった。
彗君が連れてきてくれたのは、意外にも、ハーブティーが飲めるサロンのようなお店だった。
二人は、暖炉の前のゆったりとしたソファ席に通された。
テーブルにはオールドローズが飾られ、優雅な香りを放っていた。
そして、薔薇の香りのするおしぼりと、ゴブレットに入ったハーブウォーターが運ばれてきた。
お酒を少し飲みすぎた鞠香にとって、それはとても心に沁みるものだった。
「さっきもし、どこに行きたいかって聞かれて、このお店を知っていたらここって言ったと思う」
「そか、よかった」
彗君は、鞠香を見て優しく微笑んだ。
隣の席でさっきよりずっと近くにいるけど、それがごく自然に思えるほど居心地がいいのは、お店の雰囲気なのか彗君だからなのか……どちらだろう。
沈黙すら、全然気にはならなかった。
「一人でゆっくり過ごしたいときに、ここに来るんだよね。深夜に癒される場所ってなかなかないから、かなり気に入ってる」
一人で来るお気に入りの場所に連れてきてくれたんだ……。
嬉しくなってしまうけど、それは内緒にしておこう。