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二重生活
第5章 上書き
「うわー! なんか、オシャンティー! 俺ら場違いぽくね?」

「お前はな」

「ギャハハハ」

「うるせーよ、他のお客さんいんだろ」

「つか、彩名ちゃんは? 一緒に写真撮ってもらお、俺」

大声で話しながら、派手な若い男の子たちが来店した。

「いらっしゃっいませ」

紙おしぼりとお水を運ぶと、

「ありがとうございまーす! あ、彩名ちゃんいますか?」

「今日は、休みなんです」
お友達ですか?と、聞こうとしてやめた。なんとなく、きっとそうではないと思ったのだ。

「まじかー! 会いたかったな~」

「なんだよ……。お前がどうしても見せたいっていうから来たのに」

「すまん。でも、俺今気づいちゃったんだよね。このお姉さんも超絶、綺麗じゃん」

「おー。俺はじめ、このお姉さんが彩名ちゃんかと思ったし」

「彩名ちゃんは彩名ちゃんで可愛いんだけどさ。お姉さんのほーがいい女かも。このお店すげーな」


自分のことを言われてるのに蚊帳の外で、とても居心地が悪くて気まずい。
鞠香はあえて、聞こえなかったようににっこり笑ってランチメニューの説明をし、

「ご注文がお決まりのころ、お伺いしますね」

スッとそこから立ち去った。

「やべーまじで綺麗。顔小さくてスタイルよくて、色気やばくね……? 俺今日来てよかった~」「たしかに、大人の女っていいよな」「遊ばれてー」「お前はギャル好きじゃなかった?」「いや、今目覚めた!」

男の子たちはワイワイ話し続けている。
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