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二重生活
第5章 上書き
今日おしゃれしてきたのは、こんなことに巻き込まれるためじゃなかったのにな……

最近アッシュグレージュにカラーリングしたばかりの髪は、念入りなブローで艶々と光り、ファンデーションもぴったりと肌にのっていた。

それなのに、彗君と今日は全然話せてないな……。

何度めかのため息をついて、トイレから出ようとしたそのとき、ドアが開いて男の子が入ってきた。
やたらと鞠香に絡んできた子だった。

(なんで……ここ女子トイ……)

次の瞬間、突然抱きすくめられ、唇をこじ開けて舌が侵入してきた。

「……ンッ! ……ンッ…………」

アルコールの匂いが、吐息とともに流れ込む。

「…………ッ」


(やだっ……)

声を出したいのに、激しく唇を吸われて、息さえできない。

腰から下がってきた指が、ねっとりとお尻をなで回しはじめた。

「ねぇ……個室に入ろう……」

耳たぶを噛まれ、囁かれる。

「まりちゃんとヤリたいよ……。我慢できない。ね? お願い」

いやいやをして振り払おうとするけど、両手首を掴まれ唇を塞がれたまま、個室に引きずり込まれる。

個室に入ると、外からはほとんど声は聞こえないはずだ……。


首筋に顔を埋められ、熱くて軟らかな舌がヌラヌラと舐めあげる感触が伝わってきた。
ゾクゾクと戦慄が走り、思わず体がのけ反る。

「エロい……。見て。俺の勃起しちゃったよ……」

ブラウスのボタンを外され、胸を揉みしだかれる。
口元を塞がれ、呼吸が出来ずにもがくけど、力が強くてびくともしなかった。

「すっげ。おっぱい大きいね。乳首も見ていい?」

そう言いながら、ブラジャーを一気に捲りあげる。
ぷるんと弾みがついてこぼれた胸……。
その先端に、熱い舌が絡み付く。

「おいしい、まりちゃん……。肌つるつるモチモチだね」

(嫌……。やめて……)

涙が出るけど、やめてくれるわけもなくて……。
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