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二重生活
第7章 rose
「いやいや、それにしても、鞠香さんってすごいですよね~」

あれこれ話しながら、食べて飲んで……
すっかり酔って顔を赤くした直人君が、ため息をつくように言った。

「ん?」

「だって……美人で、可愛くて、優しくて。
センスよくて、料理うまくて、セレブで……
何もかも、持ってるなぁって」

「……そんなことないよ。私は、可能性いっぱいのみんなが羨ましい……」

「えー! 何でですか~?
……俺、鞠香さんになりてーもん。

……鞠香さ¢♭∫♯で、☆%…#'&%…」

呂律が回らなくなった直人君は、「大丈夫?」と声をかけると「はーい……」と言ったきり、テーブルに突っ伏して寝てしまった。

「ワインけっこう飲んでたけど、ほんとはあんまり強くないのかな?」

「たぶん、いつもビールやチューハイだから、加減がわからなかったのかも……。おーい直人ー」

呼び起こしても全然起きる気配はなく、客間に布団を敷いて寝かせることにした。

「おっも!」

彗君がおぶって布団へ連れていく。

……どうしよう。
二人っきりになってしまったことに、今更ながら焦った。

「どうする? コーヒーとかにする?」

戻ってきた彗君に聞くと、

「ううん、鞠香さん大丈夫ならもう少し一緒に飲もう」

向かいの席に座りながら彗君は答える。
ドキドキしながら、冷蔵庫からフルーツをたくさん入れたサングリアを出した。
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