この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
二重生活
第9章 fall in love
体の中で、熱が蠢いていた。
耳の奥に、ドクドクと波打つように走る血流を感じる。
すべてがスローモーションに感じられて、ふわふわと現実味がなかった。
みんなが盛り上がり、ふざけあっているのを見つめながら、
「あっちで飲んできたら?」
そう言っても「俺は鞠香の顔見てたいの」と言って、片時もそばを離れてくれないリョウ君……。
彩名ちゃんは、直人君と楽しげに話している。あの二人、意外とお似合いかも……ぼんやりとした頭でそう思った。
彗君は相変わらず女の子に囲まれている。
そのとき、男の子たちが近寄って来て、
「リョウ、お前ロックオンしすぎだろー」
大きな声で言った。
「だって、綺麗なんだから仕方ないだろ。ドストライク」
リョウ君も大きな声で言う。鞠香は恥ずかしさに居たたまれなくなって、下を向く。
「でも、お前さ……」
「俺、結婚してるとか全然気にしないよ。こんなに可愛いんだから、むしろしてて当然だもん。子供がいるならまだしも、奪えるものは、奪うし」
「まじかよ、リョウ。肉食度合いはんぱねーな。気を付けてくださいね。ってか、こっちでみんなで飲みます?」
赤い顔で人懐っこく誘ってくれるこの男の子は、きっととてもいい子なんだと思う。
せっかくの機会だし、みんなとももっと話してみたかった。
それでも、鞠香はそれを断った。
命令その2。「俺のそばを離れないで」
リョウ君の横顔が、命令は絶対だと伝えていた。
耳の奥に、ドクドクと波打つように走る血流を感じる。
すべてがスローモーションに感じられて、ふわふわと現実味がなかった。
みんなが盛り上がり、ふざけあっているのを見つめながら、
「あっちで飲んできたら?」
そう言っても「俺は鞠香の顔見てたいの」と言って、片時もそばを離れてくれないリョウ君……。
彩名ちゃんは、直人君と楽しげに話している。あの二人、意外とお似合いかも……ぼんやりとした頭でそう思った。
彗君は相変わらず女の子に囲まれている。
そのとき、男の子たちが近寄って来て、
「リョウ、お前ロックオンしすぎだろー」
大きな声で言った。
「だって、綺麗なんだから仕方ないだろ。ドストライク」
リョウ君も大きな声で言う。鞠香は恥ずかしさに居たたまれなくなって、下を向く。
「でも、お前さ……」
「俺、結婚してるとか全然気にしないよ。こんなに可愛いんだから、むしろしてて当然だもん。子供がいるならまだしも、奪えるものは、奪うし」
「まじかよ、リョウ。肉食度合いはんぱねーな。気を付けてくださいね。ってか、こっちでみんなで飲みます?」
赤い顔で人懐っこく誘ってくれるこの男の子は、きっととてもいい子なんだと思う。
せっかくの機会だし、みんなとももっと話してみたかった。
それでも、鞠香はそれを断った。
命令その2。「俺のそばを離れないで」
リョウ君の横顔が、命令は絶対だと伝えていた。