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あなたに抱かれたい
第10章 夫のいない生活
時刻は夜の10時…
そろそろ拓哉を乗せた飛行機がドバイに着く頃だわ。
茉優と正弥…二人に寂しい思いはさせてはいけないと、腕によりをかけて夕飯の支度をしたけれど、父親が留守なのをいいことに、茉優は友人とカラオケ…正弥は映画のレイトショーを見るんだとかとで夕飯はいらないと連絡してきた。
父親の拓哉がいないということで羽根を伸ばそうって気なのかしら?
これじゃ先が思いやられるわ…
一度ガツンと叱ってあげないと、それが母親としての努めだわ。
それにしても…これだけの料理をどうしましょう…
捨てる?そんな勿体ない。
冷凍保存しておきましょうか?明日の夜にレンチンすればいいかしら?
いえいえ、やはり冷凍保存すると風味と作りたての美味しさが半減するわ。
あの子達には出来立ての美味しいご飯を食べさせたいもの。
では、この作りすぎた料理の数々をどうするか…
そこで久美子が出した答えは…
お隣さんにお裾分けと言って食べてもらおう!ということだった。
気に食わないお隣さんだけど、この家で暮らしていく上でご近所付き合いは欠かせない。
それにこの土地で知り合いが一人もいない久美子にとって、彼だけが顔を合わせれば挨拶も交わす唯一の知り合いと言っても過言ではなかった。
そうと決まれば久美子の行動は早かった。
見映えのいいように料理をタッパーにつめると、ランチバスケットに並べて意を決してお隣さんのインターホンを押した。
数回、インターホンを押しても返事がない。
『あら、留守なのかしら?』
確か、お隣さんは独身で独り身だったから外食に出掛けて、まだ帰宅していないのかしら?
あきらめて帰ろうとUターンしかけたその時、ようやくガチャっとドアが開いた。
「おやぁ?誰かと思えば、隣の奥さんじゃないですか」
頭髪の薄くなったバーコード頭なのにカットもせずに伸ばしっぱなしの髪が海底から現れた海坊主のようだ。
ヘビースモーカーなのか歯も黄ばんでいるし、体型の酷さを隠そうとジャージを愛用しているので余計にスタイルの悪さを際立たせていた。
「あ、夜分にすいません…
夕飯を作りすぎたのでお裾分けをと思いまして…
でも、夕飯、もう済ませちゃいましたよね?」
やっぱりこの人とは仲良くやっていけそうもないわ。
久美子は「お口に合わなければ捨てちゃってください」とバスケットを突き出した。

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