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あなたに抱かれたい
第11章 ドバイの秘書

それにしてもお酒に強い女だなと思った。
アルコール度数の高いバーボンを、まるでアイスティーでも飲んでるかのように喉に流し込む。
拓哉にしてもお酒には強い方だがアーヤにはついていけない。

これ以上呑んで酔っぱらうと明日の業務に支障をきたすので、適当なところで切り上げることにした。

「そろそろ終わりにしようか」

「え~?まだまだ呑み足りないわ」

「あまり遅くなると君の家族も心配するだろ?」

「大丈夫よ、うちは放任主義だから。
それにこれからはキャップのスケジュール管理も私が引き受けるんだから、あなたの事をもっとよく知りたいのよ」

「それはこれから少しずつでいいだろ」

さ、帰るぞと席を立ったものの、足元がおぼつかない。
どうやら彼女のペースで呑んだものだから、したたかに酔ってしまったようだ。

これでは明日の朝にちゃんと起きれる自信がない。
アーヤをタクシーに放り込んでオフィスで一夜を明かすことにした。

「タクシーを頼んであげるから一人で帰れるよね?」

「いやよ!帰らないわ!」

顔には出ないがどうやら酒癖はかなり悪そうだ。
この手の酔っぱらいは思うようにしてやらないとますます酷くなる事が多いので「それじゃあ、オフィスのソファーで夜を明かすかい?」と言ってやると「キャップも?あなたも一緒じゃなきゃイヤだわ」とごね始めた。

「ああ、一緒だよ。それなら文句ないだろ?」

仕方ない、ソファーはアーヤに譲るとして、拓哉は自分のデスクチェアーで一眠りすることに決めた。

ほどなくして依頼したタクシーが来たので二人で乗り込んだ。

酔っているからといって、日本の女のように体を擦り寄せて甘えてくるわけでもない。
アーヤは拓哉の隣で必死に眠気と闘って大人しく座っていた。

オフィスタワービルに到着して、自分達のオフィスに足を踏み入れるとアーヤの態度が豹変した。

「あああ…こうして男性と夜を共にするのは久しぶりなのよ」と
いきなり抱きついてきた。
アーヤが言うには、イスラム教のこの国では誰かの面前で体を触れあったりキスをするなんてとんでもないことのようだ。
公衆の面前でハグでもしようものなら、条例違反で6か月の拘禁刑なのだそうだ。

あなたに抱きかかえられてバーを出ようものなら、今頃二人は刑務所にぶちこまれているところだったわねと、アーヤはクスクスと笑った。


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