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あなたに抱かれたい
第11章 ドバイの秘書

翌朝、出社してきた事務所の面々は、すでにキャップの拓哉が自分のデスクに座り業務を始めていることに驚いた。
でも、社員の彼らには拓哉が昨日と同じスーツでヨレヨレのワイシャツを着ていることから近くのホテルの一室に宿泊し、どこぞの女を捕まえてメイクラブしたのだろうと想像した。

同じように秘書として雇ったアーヤもすでに身だしなみを整えて出社してくる面々に「今日から皆さんと一緒に働くことになったアーヤです」と挨拶を交わしていた。

ただ一人、アーヤの兄だけが全てを理解したようにニヤニヤしていた。
すかさず拓哉のもとに近づくと「どうです?うちの妹はなかなか美味しかったでしょ?」と茶化すように拓哉に囁いた。

「言っておくけど、アーヤとはそう言う関係ではなくて、ビジネスパートナーとして助けてもらうつもりだよ」

「いいんですよ、堅いことは言いっこなしにしましょう
この国はね一夫多妻制なんですから、キャップもこの国の国籍を取得して妹のアーヤを第二夫人として可愛がってあげてくださいな」

妹が上司の妻になれば、自分はクビになることもないし、生活も安泰だと目論んでいた。

「悪いが、僕はね日本国籍のままでいいんだ。なんといっても日本には愛すべき妻と子供たちを残しているんだからね」

だから僕はアーヤとは深い仲になることはないよとアーヤの兄を失望させた。

だが、それはあくまでも表向きの顔で、実のところはアーヤにメロメロにされていた。
愛だの恋だのと煩わしい気持ちは抜きにして、肉体を提供してくれるアーヤは単身赴任の拓哉にとって欠かすことの出来ない存在になりつつあった。
だからこそ社員の誰にも二人の関係を怪しまれてはいけなかった。
事務所の責任者である拓哉と秘書として雇ったアーヤが深い関係になっているなどと知られては他の面々の仕事の士気に関わるからだ。
二人はあくまでも他の社員の面前ではドライな関係を保ちつつ、特にアーヤの兄にだけは決してアーヤに手をつけていない雰囲気を醸し出さねばいけなかった。
なのでアーヤの兄の前では殊更にアーヤを叱責したりして主従関係を装った。

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