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あなたに抱かれたい
第12章 年末年始

家族を残してきた篠塚家で、それぞれ快楽に耽っている頃、
拓哉は一時帰国に向けていそいそと荷造りに精を出していた。

元日を挟んで前後一週間ずつ、計二週間のバカンスを本社に申告してそれが了承されたからだ。

「日本か…いいわねえ、私も連れていってもらおうかしら?」

スーツケースに衣類を詰め込む手伝いをしながら、秘書でもあり愛人でもあるアーヤが嘘か誠かわからない妖しい微笑みを浮かべながら拓哉にお伺いを立てる。

「ごめんよアーヤ、単なる日本旅行とは違うんだ。
ニューイヤーバケーションだけど、日本では帰省といって家族水入らずの時間の事をいう」

「私、あなたの家族じゃない?
こうして一緒に生活して、セックスもする。
私はドバイの妻ではないのですか?」

肉体関係を結んだ翌日から、アーヤはこの部屋に転がり込んできて、共に生活を始めていた。
仕事のパートナーとしても、夜の相手としてもアーヤはとてもよく尽くしてくれた。

険悪な空気を引き裂いたのは一本の電話だった。

「ハロー…」

- あ、キャップ、お忙しいところを申し訳ありません -

電話をかけてきたのは事務所で営業部員として雇ったムハムンドという男だった。
彼はドバイでは顔が広くて営業部員としては申し分ないほどに活躍してくれている。

「どうした?急用かい?」

- ええ、急用です。キャップもご存じのようにドバイ商事のアリ社長なんですが… -

「彼がどうかしたのかい?」

- ニューイヤーパーティーに是非ともキャップにお越し願いたいと言い出しまして… -

「それは困ったな…君も知っての通り、僕は明日から二週間日本に里帰りなんだよ」

- ええ、そのように伝えたのですが…
キャップが来てくれないのなら今回の仕事はご破算にすると… -

「ええっ!それは困る!ドバイ商事とはかなり大口の取引なんだ。ほぼ確定だと本社に連絡をしてしまっているのに!」

- ええ、ですからキャップ…バカンスを取り止めてもらうわけにはいきませんでしょうか? -

ムハムンドにしても、今回の取り引きは是非とも成功させたいのだろう。
口調がかなり切羽つまっていた。
仕事を取るか、家庭を取るか…拓哉の頭の中には天秤がゆらゆらと揺れていた。
そして導きだした苦渋の決断…
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