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あなたに抱かれたい
第12章 年末年始

指定された部屋に入ると、すぐに拓哉はアーヤに問いただした。

「きみって、どうしてそんなに顔が広いんだい?
エステサロンのマダムにしても、ホテルのマネージャーにしても顔見知りなんだね?」

「私ね、コールガールしてたのよ」

「えっ?だって君はこの国に風俗なんて存在しないと言っていたよね?」

「ええ、風俗としてはお店を構えていないわ
でも、世の中、男がいれば女を求める。
それは自然の摂理よ。
バーで一人飲みしながら男が声を掛けてくれるのを待つの
いわゆるナンパじゃないのよ、値段交渉なの。
日本のように立ちんぼみたいなコールガールは存在していないけど、ナンパ風のコールガールならうじゃうじゃしているわ
女が一人だけで食事をしていたりお酒を飲んでいたら客待ちの女だと思っていいわ」

そんな女たちは自分磨きに余念がないのだと言う。
だからアーヤもエステサロンのマダムと顔馴染みだし、ホテルの部屋に連れ込まれたりしていただけにホテルのマネージャーとも顔見知りだったのだ。

「わかった。君を雇うときに過去の事はとやかく言わないと決めたからね、君がどんな商売をしていたって構わない。
今はれっきとした僕の秘書に間違いはない」

拓哉がそう言うように、実にアーヤはよくできた秘書であった。
明日のミーティングとは言うものの、実際はアーヤがすでに段取りを考えてくれていて、拓哉は彼女の案に首を縦に振るだけだった。

「まあ、明日はそんな感じで大丈夫だろ」

アーヤから預かった書類をブリーフケースに入れながら、久美子のエステが終わるまでにはもう少し時間の猶予がある。

拓哉はベッドに座るアーヤの隣に腰かけて、労をねぎらうかのように肩を抱いてあげた。

「キスミー プリーズ…」

キスをしてくれと、アーヤは拓哉の方を向いて目を閉じた。

「ああ、いや、それは出来ないよ
この場に妻がいないのを良いことに、君とキスするのは妻への冒涜だ」

「どうして?あなたは久美子を愛している、それは知ってます。そして、私は、あなたを愛してます」

彼女に魅力に負けて抱いてしまったのだ。
今さらあの関係はなかったことにしてくれとは言えない。
だけど、アーヤは拓哉が久美子一択だとわかっていながら胸に飛び込んできた…

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