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あなたに抱かれたい
第12章 年末年始

「昨夜、あなたに抱かれた時、この匂いに気づいたのよ
あなたはこんなフレグランスをつけないわよね?
そして、今日、あの秘書さんを紹介されてハッキリわかったわ!この匂いは彼女の香水なんでしょ?
どうして枕カバーに彼女の香りが染み付いているのよ!」

さあ!ちゃんと説明して。
そう言って腕組みをしたまま拓哉を睨み付ける。

「こ、これは、その…あれだよ!先日、アーヤがこの部屋にやってきた時に、体調がすぐれなくてね…
それでほら、ベッドに彼女を休ませたのさ。
うん、そう!きっとその時に匂いが移ってしまったんだよ」

「ふぅ~ん…まあ、いいわ。そういうことにしておいてあげる
でも、今日、私がエステをしてもらっている間、あなたたちは何をしていたの?」

「えっ?それはミーティングだよ」

「へえ~、ミーティングねえ…
あなたのスーツからカモミールの香りがしていたのは何故?」

「えっ?スーツから?…」

迂闊だった…まさか移り香が残っていたなんて…

「いや。それはほら…あれだよ…書類を覗き込んだりしているうちに匂いが移ってしまったんだよ。うん!きっとそうだよ」

「あら?匂いが移るほどに親密に寄り添っていたのね?」

「なんだよ!さっきから!
僕が不倫したとでも言いたげだな!
僕はね!こっちで死に物狂いで働いているんだ!!
不意に日本から観光気分でやって来た奴にとやかく言われる筋合いはないと思うけどね!」

売り言葉に買い言葉…
いや、違う…ズバリ不倫を言い当てられて、開き直るどころか逆切れなんて無様だ。
わかっている。わかっているんだけど、一度発した言葉は戻ってこない。

「そうね!私が悪いのよね!
あなたに会えなかった寂しさなんて、あなたはこれっぽっちもわからないでしょうね!
忙しいところ押し掛けて悪かったわ!
帰ります!帰ればいいのよね?」

そう言って久美子はスーツケースを引きずって部屋から出ていこうとする。

「待て!待てよ!!」

明日の元日パーティーには久美子にも出席してもらい、仲睦まじい夫婦の姿をアピールして商談を有利に進めたいのに、ここで帰られたら身も蓋もない。

拓哉は久美子の腕を取って出ていこうとする久美子を寝室に押し込んだ。
そしてギャアギャア叫ぶ口を押し黙らせるためにキスをした。
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