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防音室で先輩に襲われて…
第10章 図書館でふたり
雲が徐々に暑く覆われていって、今にも雨粒が落ちてきそうな空。
乃ノ花は椎名と並んで歩いていた。初めての「デート」──そう呼んでいいのかわからないけれど、椎名に誘われるまま断れない。
図書館は駅から少し歩いた、ガラスファサードの大きな建物だ。
1階にはポップアップショップやカフェもあり、賑わいがある。そこからエスカレーターで上がると、静かな空気が二人を迎えた。
「ここ、よく来るの?」
椎名が聞く。乃ノ花は小さく頷いた。
「…はい」
受付で閲覧カードを作り、学習室へ。
持ち込みの勉強は閲覧室ではできないので、学習室に向かう。乃ノ花はリュックから塾の数学の問題集を取り出した。
学習室は冷房が効いていて涼しい。祝日なのに、午前中だからか人は少ない。
一番良さそうな窓際で二人並んで席に着いた。
勉強道具がない椎名は、入り口近くの「いま話題の小説コーナー」で本を手に取っていた。表紙には野球のユニフォームを着た少年。高校球児が主人公の青春小説だ。
「何?純文学でも読むと思った?」
椎名が小さく笑いながら席に戻ってくる。乃ノ花は少し驚いた顔で首を振った。
「…っ…いえ、そんなことは」
確かに意外だった。高校いちの優等生な彼のこと、分厚い専門書を読んでいたほうが似合いそうだった。

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