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防音室で先輩に襲われて…
第10章 図書館でふたり

(間違ってるの……教えてくれた?) 

 椎名は無言でペンを滑らせる。

 丁寧な字で、解説を書いていく。

 乃ノ花はそれを食い入るように見つめた。ペン先が紙を這う音が、耳に響く。解説が終わると乃ノ花はペコリと頭をさげた。

(先輩、本を読んでると思ったのに……見られてたの?)

 そこからは、彼の視線を強く感じるようになった。


 まるで肌を舐めとられるような視線──


 緊張が増して、彼にコンビニで買ってもらったオレンジジュースを飲んだ。

 ごくんと喉が鳴るのにも、気を張ってしまう。冷たい液体が喉を滑り落ちる感触が、なぜか下腹部に熱を灯す。 


 ──スッ


 ──突然、椎名の左手が、乃ノ花の左手に重なった。

「……っ!」

 小声で驚く。

 椎名は平然とした顔で、彼女の横顔を覗き込んでいた。

「ぁ……」

 長い指が、ゆっくりと手の甲をなぞる。まるで絹を撫でるように…指の腹が滑る。

 爪の先が、薄い皮膚の下の静脈をなぞる。ぞくぞくする。背筋に甘い痺れが走る。 

 次に指を絡められて、きゅっと握られた。

 温かい。

 いつも自分に酷いことをしてくる男の手。

 掌の中心に、椎名の親指が押し当てられる。ゆっくりと円を描く。まるで、そこにしかない敏感な点を刺激するように……指の間を、椎名の指が滑り込み、絡みつく。ぬめり気のあるような熱い摩擦。



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