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The altar of a sacrifice
第3章 深紅に濡れる祭壇

「綾くん話を聞いてよ、痛いのは一瞬だけだから……ねっ?」
その一瞬でどうされるかわかったもんじゃない。
あんなに安心感のある存在だった公秋さんも、今は恐ろしい化け物の様に思える。
「うるっせぇ…、こんなオカルト屋敷今すぐ出て行ってやる!!」
辺りを睨みつけて威嚇した。
小説家になりたいだなんていかにも草食系だと思われがちだが、これでも喧嘩には自信がある。
多少の武道の心得があるのだ。
相手が多勢といえど、このメンバーならば勝てる気がする。
「どけよ…、出口はどこだ?」
近くにあった燭台を一つ手にとって辺りを照らした。
「綾人…」
振り返った目前に鈴音の顔があって驚く。
悲しそうな顔でこちらを見つめている鈴音を見ていると、こんなにも俺にとって理不尽な状況だというのに何故か心が痛む。
「なんだよ…」
「んふっ…」
するりと絡まり着く蛇のように鈴音の腕が俺の腰にまわされた。
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