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The altar of a sacrifice
第3章  深紅に濡れる祭壇 






どうして身体が動かない?


血まみれの黒衣のナース服のまま鈴音が身体に手を這わせてくる。



「やめろっ!!」



そう言って押し退けた時にはもう遅かった。


首元にいつの間にか煌めく刃が突き付けられていた。


ソレは持ち手に華美な装飾が施されているもので、ナイフと言うよりもおそらく儀式用の短剣だ。



「綾人、捕まえた……」



こうして見ると鈴音の衣装の返り血がなんだか急に生々しく見えてくる。



「っう…」



俺は短剣を突き付けられたままで祭壇の方まで歩くよう促された。


一巻の終わり…。


絶望的な言葉が頭をよぎる。



「捧げ物を…、生贄を…」



公秋さんがまたしても何やら意味の分からない呪文の様なものを唱え始めた。


俺は鈴音に刃を突き付けられたまま、恐る恐る公秋さんのいる祭壇まで歩く。


鈴音の持っている短剣がのどを斬り裂いて視界が赤く染まる想像が頭から離れない。


鈴音が近づいて来た時点で警戒して離れるべきだった。












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