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透明な部屋
第15章 伊那春香の部屋 6/2(月) 19:23
春香がマンションに帰ると、エントランスには権藤がいた。彼はエントランスで何やら作業をしていた。

春香に気づいた権藤は「こんばんは」と挨拶をしてきた。
何のこともない挨拶のはずなのに、権藤は春香を見てニヤニヤしているように見えた。

春香は権藤に近づいた。
「いつもお疲れ様です。権藤さん。ところで、住人が帰ってくる時間帯に、いつもエントランスにいるのはなぜですか?」

春香に突然、妙なことを言われた権藤だったが、全くニヤニヤ顔を隠す気がない。

「伊那さん。私は皆さんが帰って来る時間帯に、いつもエントランスにいるわけではないです。それに、その時間帯にエントランスにいることの何が問題なんでしょうか?」

権藤は春香をバカにしている。
彼女はそう思った。

「いいえ。少なくとも、私が帰って来るときにはいることが多いです」

「だから、それの何が問題なんですか?」
春香は、権藤に対する今までの怒りが噴出した。

「あなた。ここのマンションに住んでる女性のこと、いつもイヤらしい目で見てますよね。それに、女性がエレベーターに乗ると乗ってくることも多い。そういうの全部わかるんですよ。もう、いい加減にしてくれませんか? すごく不愉快です」

ここまで言って、春香は権藤の顔を見た。
「伊那さん。そういう濡れ衣はやめてくださいよ。私は管理人の仕事をしてるだけですよ」
そう言って権藤は薄ら笑いを浮かべた。
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