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御朱印女と怪談男
第3章 金の切れ目がなんとやら
「あ・・・と、ところで、さっきなんか言いかけてなかった?」

咄嗟に話題を変えた。
とにかく、話を怪談サイトからいったん逸らそう。

「ああ、いや、な・・・御朱印帳っていうのを見せてもらえんかとな」

ん?と思ったのだが、どうやらこの人、御朱印帳というもの、名前を知ってはいたが、いったいどういうものかを知らなかったらしい。

「職場の子でも『御朱印集めてます』とか言ってる人がいたんで、なんだろうってな」

そう言うので、私が今持っている御朱印帳を特別に見せてあげることにした。

「行った神社やお寺でもらえるの?サインみたいなもん?」
「いや・・・サイン・・・というより、どちらかというとお守りみたいな?」
「お守り?」
「そこの神社やお寺、神様との縁の証・・・ってことかな」
「縁・・・」

ほー、へー、なるほど・・・。
そんな事を言いながら私の御朱印帳を眺める怪談男。なんとなく、自分の趣味がほめられている気がしてちょっと気分が良かった。

「あなたもやってみたら?神社来るの好きなんでしょ?」
御朱印好きとしては、同好の士を増やすのも悪くないと思い、誘ってみたりする。そもそも、12月31日にこんな来にくい神社に来るくらいだ、きっとこの人も神社が好きに違いない。

「いや、好きというわけでは・・・」
「え?何?じゃあ、なんで今日来たの?」

尋ねると、若干、目が泳ぐ。
ん?なんだ??

「暇つぶしだ、暇つぶし!」
「暇なん?12月31日」
「いいだろ!別に!」

きっとこいつも友達いないんだろうな・・・そんなふうに思う。
まあ、自分もいないので、そっとしておいてやろうと、優しい私は思ったのだった。

「ところで、現金、全く持ってないって言ってたけど、お賽銭どうしたの?」
「あげてない」
「1円も?」
「1円も」
「・・・罰当たり・・・」
「んなっ!!」

ちょっとのけぞる怪談男を見て、私は謎に勝った気持ちになった。さっきまでの敗北感を取り戻した気分だ。

まあ、いいや。
そろそろ帰りのバスの時間だし、ここを出なくてはいけない。
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