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御朱印女と怪談男〜にさつめっ☆〜
第11章 不運女と福徳男(前編)
身体が重いな・・・そんな風に思う。
そんなことを考えながら私は、じっとスマホを眺めていた。

我慢しなきゃ・・・
彼だって仕事しているんだし・・・
少しすれば、ちゃんと寝る前にはおやすみなさいとか、他愛のないラインの交換ができるんだし・・・
そうだ、その時間まで待てばいいだけだ・・・。

それだけ。
いつもと同じ。
ひとりで、待っていればいいんだ。

・・・
・・・

あゝ・・・でも、なんだか・・・なんだか今日は・・・今日だけは・・・

ついに私は、スマホに手を伸ばしていた。少しだけ、ちょっとだけ、都合が悪かったらすぐに引き下がるから・・・

そんなふうにいっぱい言い訳をしながら、一言だけ、送ってみた。

『今、話せる?』

ちょっと震える指で、送信→
しゅぽっとメッセージが送られ、ものの数秒で『既読』がついた。

その文字だけで、ふわっと心が軽くなる。
でも、すぐにまたソワソワし始めた。

お返事・・・来るかな・・・
来なかったら・・・それってやっぱり忙しいってことだよね?

なんて思った矢先、スマホが震える。画面には『怪談男』の文字。
ライン通話が入ったのだ。

慌てて取ろうとして、一旦スマホを取り落とし、もう一度拾い上げて着信バーをスワイプする。

『もしもし・・・ゆらさん?』
間違いなく、彼の声だった。
「あ、うん・・・私」
『大丈夫だよ』
大丈夫と言われて、一瞬何が?と思ったが、それが、さっき私が送った『今、話せる?』の答えだとすぐに分かった。

「あ・・・うん、ありがとう」
『どうしたの?・・・なんかあった?』
そう言われて、私ははたと困ってしまった。
特に用事はなかったのである。
というか・・・もう用事の9割方は済んでしまったのかもしれない。

「えっと・・・あの・・・」
そこに電車が到着するときの駅メロと、機械のアナウンスが聞こえてきた。どうやら、彼は駅にいるみたいだった。電車が来たということは、もしかして・・・。
「今、駅なの?」
『うん、そうだよ』
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