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御朱印女と怪談男〜にさつめっ☆〜
第12章 不運女と福徳男(後編)
☆☆☆
玄関の件があってから、せめてもと思って、彼にはお風呂に入ってもらった。歯ブラシも、新しいのをおろしたりした。しかし、どうしても困ったことが二つあった。

ひとつはパジャマになるような服がないということだ。
私の服は当たり前だが、彼には小さすぎる。スーツとワイシャツで寝るわけにはいかないので、それは脱ぐのだが、上に着るものがない。あれこれ探したけれども、結局、最終的には前に買った『着る毛布』を引っ張り出してきて、それを寝巻き代わりにしてもらうしかなかった。

もうひとつ困ったのは、ベッドである。
うちのベッドはシングルだから、ふたりでなんてとてもじゃないけど寝ることができない。そうしたら彼は、俺はベッドの横の壁に寄りかかって寝るからいいんだ、などと言う。

『若い頃はこんな風に雑魚寝したことなんかいくらでもあった』

なんて嘯いたが、そんな態勢で寝たら、きっと明日の朝は身体がバキバキになっちゃうんじゃ・・・と心配した。何度か押し問答をしたが、結局は押し切られてしまい、彼は毛布にくるまったまま壁にもたれて、私はベッドで寝る・・・という今の形に落ち着いたわけだ。

私がベッドで横になっている傍ら、彼は大きな体をきゅっと縮こまらせて、着る毛布にくるまって壁にもたれていた。

なんだかんだ言って、時刻はもう12時を回っている。
もぞりと彼の方に顔を向ける。薄暗い部屋の中、彼もまた、目を閉じて座ったままの姿勢で眠ろうとしていた。

「本当に、ベッドで寝なくていいの?」
気になった私はやっぱりそう、問いかけてみる。でも帰ってきた答えは案の定、
「ああ」
と一言だけだった。

「私、床で寝るからさ」
「そんなわけにいくか」
「だったらせめて横になって・・・」
「へーきだ」

・・・
・・・

「寝た?」
やっぱり気になる。また聞いてしまう。
「ん・・・まだだ」
「寝れそう?」
「んー、まあ大丈夫かな・・・ゆらさん、寝れねーのか?」
「うん、寝れそうだけど・・・」

そんな話をしていたら、すっとベッドの中に彼の手が入り込んできた。しばらく中をまさぐるようにしていたので、私が手を伸ばすと、それをぎゅっと握ってくれた。
それはあったかくて、なんだかとても心地が良かった。
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