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御朱印女と怪談男〜にさつめっ☆〜
第6章 女の約束と男の気持ち
このお守りを頂いてきたのは、東京は中央区、日本橋にほど近い『福徳神社』だった。別名『芽吹稲荷』とも言うそこは、その名の通り、社殿を守っているのは狛犬ではなく、狛狐・・・いわゆるお稲荷さんである。なので、御祭神は当然のごとく『倉稲魂命〈うかのみたまのみこと〉』だ。

この神社、実はお社自体はとても小さく、ビルの間のポケットパークほどの敷地しかない。しかし、ここは知る人ぞ知る、全国で多分唯一のご利益がある神社なのだ。

それが座するのは、お江戸日本橋。昔の人は旅をする時、ここから出発をした。なので、皆、このお稲荷さんで旅の安全を祈願したのである。
そして、こんにちにあっても日本橋は日本の道路の起点になっている。要は、ここからすべての道が日本全国に走っている・・・だから・・・

「旅する人の安全を守ってくれる・・・っていうお守りなんだ」

彼がお守りを見て、私を見て、またお守りを見た。
そして、にこりとすると、『ありがとう』と言った。

「じゃあ・・・カバンに付けとけばいいかな?」
そう言って、手持ちのビジネスバッグの外ポケットのチャックの部分にお守りの紐をくくりつけた。

「大事にする」

ポソッと言った言葉に、私はなんだかドキンとしてしまった。

「あ・・・ちょっとごめん、お手洗い行ってくるね。」

トイレに行きたくなったのも本当なのだが、なんだか少し恥ずかしくなってしまった私は、中座することにした。

そんな私を、目を細めて彼が見ていたのだが、余裕がなさすぎて、その時の私はそれに気づくことはできなかった。
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