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乳牛メイドのホルスタイン あの、かけがえのない日々のこと
第6章 第5話 幸せの時
 それから間もなくして孤島の伝統衣装を着た旅館の女性職員2名が部屋の扉を3回叩いて、彼女らは私たちの客室に夕食を持ってきてくれた。

 やはり孤島の伝統食であるといういくつもの小さな皿に盛られた海鮮や野菜を主体とした豪華料理が低い木製の机の上に所狭しと並べられ、私と坊ちゃまは机を挟んで緑色の繊維の床に座ると2人で美味しい料理に舌鼓を打った。

 伝統料理の中には私が普段から入手できる食材で再現できそうなものもいくつかあって、料理を口にしながら味付けの再現法について考える私に坊ちゃまはホルスタインは根っからのメイドさんなんだね、と冗談めかして言った。


 私たちが食事を終えたのを見計らったかのように先ほどの女性職員たちは再び客室を訪れて、食器を全て片付けてくれた。

 旅館の上階にちょっとした遊戯施設がありますよという女性職員の言葉を聞いた私と坊ちゃまは客室を出て、階段を上ると通路の一角から何かが叩かれるような音が聞こえた。

 いくつもの長方形の台を挟んで宿泊客たちが持ち手の付いた板を振るっていて、どうやら小さな白い球を打ち返し合っているようだと私は気づいた。


「ホルスタイン、あれは沿岸の都市で流行してるちょっとした球技なんだよ。上級学校でも同好会があって、実は僕も基本的な規則は知ってるんだ」
「そうなのですか? 私にもできるでしょうか」
「子供でも女性でも安全に楽しめる球技だし、ホルスタインは人よりも運動ができるからきっと大丈夫だよ。一緒にやってみない?」
「はい、ぜひお願いします」

 坊ちゃまはそう言うと私の手を引いて広い部屋の隅にある空席の台まで歩き、私に持ち手付きの板を手渡した。

 まずは白球の打ち方から練習しようと坊ちゃまは私の両腕を背中から持って教えてくれて、ある程度練習すると私も小さな白い球を台の上の狙った場所に打ち込めるようになっていた。
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