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乳牛メイドのホルスタイン あの、かけがえのない日々のこと
第2章 第1話 温かい右手
 坊ちゃまを待たせないよう自分は先に身体を洗っていて、筒状の樹脂を通って温水が吹き出す蓮口を右手に持った私は坊ちゃまの身体を頭から足先まで流していく。

 金色の髪に髪を洗うための液体石鹸を振りかけて、女性としては少し大き目の両手で透き通るような金髪をがしがしと洗う。

 昔の坊ちゃまは目にお湯がかかるのをとても怖がっていたけど、今は頭の上から温水を振りかけても平然としている。

 あどけなかった坊ちゃまはこの4年の歳月で少しずつ大人に近づいていて、こうして一緒にお風呂に入れるのも今が最後かも知れないと私は思った。


「本当に久しぶりですね。普段はお一人で身体を洗えていますか?」
「ぼくそんなに子供じゃないよ。ホルスタインはお風呂好きだよね、いつもぼくよりずっと長く入ってる」
「ええ、坊ちゃまに綺麗な姿をお見せしたいので。坊ちゃまも女の子に恥ずかしくないようにしましょうね」
「はいはい、ちゃんと入りまーす。今日はそこの石けんがいいな、持ってくるね」
「あっ、坊ちゃま!」

 まだ髪の液体石鹸を流しきっていないまま、坊ちゃまは身体を洗うための石鹸を取ろうと風呂椅子から立ち上がろうとした。

 床を流れる液体石鹸に坊ちゃまが足を滑らせたのはその直後で、私は半亜人の動物的な直感で身を投げ出した。


「危ないっ!」
「うわあっ!!」

 坊ちゃまが頭から浴室の床に落下するのを防ごうと私は自分から床に身を投げだして、坊ちゃまの頭は後ろ向きに私のよく肉の付いた背中に倒れ込んだ。

 柔らかな背中は坊ちゃまの頭を優しく受け止めて、坊ちゃまは驚きつつもしばらくすると我に返ってお風呂の床に立った。
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