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夜来香 〜若叔母と甥、禁忌の果て〜(改訂版)
第13章 登校日

まだ15時には少し早かった。
なのに、玄関にはスニーカーが置かれていた。

「ただいまぁ…もう健人来てるのぉ?…」

靴を脱ぎながら家の奥へと声をかけた。
リビングから出て来たのは母ではなく健人だった。

「おう、お帰り…お邪魔してるぞ…」

「何で先に来てんだよ…」

「別にいいじゃないか…中学の時はしょっちゅうだったんだから…」

確かに健人は中学の時は頻繁に家に遊びに来ていた。
泊まって行くことも珍しくはなかった。
高校生になってから来るのは初めてなのかもしれない。

リビングに入ると母はキッチンから声をかけてきた。

「おかえり…健人くんからどら焼きいただいたわよ…お茶淹れるね…」

これからお茶ということは健人は来て間もないということか。
そんな無駄な時間を過ごす訳にはいかなかった。

「麦茶でいいよ…健人は宿題写しに来ただけだからリビングでいいから…」

「ま、どこでもいいけど…」

健人はリビングのロングソファに腰を下ろした。

「何で健人がそこなんだよ…まぁ、いいや…問題集持ってくるから待ってろ…」

自室に行っても机は一つしかない。
それになんとなく叔母と過ごす部屋に健人を入れたくなかった。

間延びした返事をする健人をリビングに残して部屋に上がっていった。
健人がどれだけ自分で宿題をやってるか知らないが、あいつのことだからそれなりに時間はかかるだろう。
いつも通りTシャツとハーフパンツに着替えて下に降りた。

ちょうど母がローテーブルに麦茶とどら焼きを置いているところだった。

「健人くん…テーブル低くて勉強しにくいんじゃないの?…」

「平気、平気…写すだけだし、地べたに座ってやれば問題ないっす…」

相変わらず健人は母に対してフランクだ。

「母さん…もういいから…」

「そう?…じゃあ、母さんお買い物に行ってくるから…健人くん、ごゆっくり…」

「はーい、おばさん行ってらっしゃーい…」

健人は笑顔で母に手を振っていた。

「ほら…18時迄には帰ってもらうからな…」

「はいはい…でも一度その素敵な家庭教師先生の顔を拝みたいもんだな…」

「拝まなくていいからっ…」

健人が言った中学の中村先生とのことが本当ならなんとなく叔母を見せたくなかった。


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