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夜来香 〜若叔母と甥、禁忌の果て〜(改訂版)
第25章 クリスマス・イブ 〜慟哭〜
陽翔は自分自身に戸惑いを覚え始めていた。
あれだけ想いを寄せた叔母のことを一生愛していられると思っていた。
叔母の言葉を回想する。
思春期故の勘違い、歳の差、親戚だということ…時間が経った時、陽翔の想いの変化…思い出にすればいいと言った叔母の寂し気な笑顔…。
陽翔が栞と過ごした時間は絵に傾けた情熱だと思っていた。
だったら…
叔母に注ぎ込んだ時間は?
本当に大人の美しい女性への憧れ?
性欲に目覚めた時、たまたま現れた妖艶な叔母の身体が目当てだった?
叔母との食事は、その後に訪れる快楽を待ち焦がれ、こんなにも穏やかな気持ちで視て居られたのだろうか…。
美味しそうにハンバーガーを口に運ぶ先輩。
この後は映画と細やかなディナー。
今日は絵は無いと言われた。
だからデートで終わりなんだと思う。
陽翔の叔母への憧憬が揺らぎ始めていた。
「陽翔くん…陽翔くん……」
「あ、ごめん…見惚れてた…」
ぽっと、目の前の先輩の頬が赤くなる。
二つ上の先輩…
【ほんとに可愛くて、綺麗な女性(ひと)だな…】
「ほんとに、陽翔くんてたまにすごくずるい…。ご馳走さまでした…そろそろ行こうか……」
「うん…そうだね…」
ここは割り勘…映画も…互いに学生だからと先輩が気を利かせてくれた。
【きっとプレゼントは予算オーバー…夜は僕が出したいな…】
手つかずだったお年玉を財布に入れて来た。
それくらいは見栄を張りたいと思っていた。
お店を出るとどちらからともなく指絡め手を繋いで歩き出す。
二人は共に前に出ることなく、並んで歩いていた。
【栞の絵をちゃんと描こう…今の僕のありったけを込めて…】
【陽翔くん…好きだよ…貴方は私の前から居なくならないでね……】
栞から奪い、与えてくれた伯父のことを考えていた。
陽翔は伯父の代わりなんかじゃない。
まだ未完成の陽翔の才能に惹かれ、己が芸術の高みを目指すのに、巻き込んだ後輩。
陽翔となら、共に歩んで行けると思っていた。
【こんなにも貴方を欲しいと思うんなんて思わなかった……】
栞もまた、呪縛から解き放たれていく気持ちを実感していた。
【【絵が完成したら、素直な気持ちを伝えよう】】
絡めた指をより深く繋ぎ合う。
映画館に着いてもなかなか手を解くことはなかった。

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