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路地裏文化研究会
第5章 おじさんたちとの出会い
 中村さんが、すっと襖に手をかけます。襖が開いた瞬間、三人のおじさんの視線がこちらを向いていました。

 「いよー、いらっしゃい、ようこそ」
 「本当にようこそ。主役の登場だね」
 「これで始められるね」

 おじさんが三人、鍋が置かれたちゃぶ台を囲んでいます。

 「どうぞ、こちらへ」

 空いている座布団へ中村さんが導いてくれました。

 「桜井です。本日は、よろしくお願いいたします」

 わたしは正座をし、深く頭を下げます。

 「奈津美さんでしょ、そんなに畏まらないでいいんだよ」
 「そうそう。楽にして、楽にして」
 「礼儀正しいお嬢さんだ。さすが文華堂さん、お目が高いね」

 腰を下ろした中村さんが、よくやった、というように肩を叩かれています。

 「お目が高いって、俺が選んだわけじゃないよ。お嬢さんが選んでくださったんだって」
 「そうだってね。三年も前の『タウン〇〇』から見つけてくれたんだってね。ボクたちを選んでくださるなんて、実にお目が高くていらっしゃる」

 おじさんたちの笑いがはじけました。

 「それにしても、『タウン〇〇』ね。先生にしちゃあ、随分、無味乾燥にして事務的な感じだったけど、三年の歳月を経て大魚を釣り上げたね」
 「まったく。名門〇〇女子大学三回生、才色兼備にして容姿端麗…もう、ボクたち、待ちきれなくて始めてたんだ。ささ、貴女も駆けつけ三杯。いけるんでしょ」

 コップを持たされるとビールを注がれます。おじさんたちも、お互いコップにビールを足し合っています。中村さんがコップを掲げました。

 「じゃあ、研究会の新メンバー、僕らの女神様、桜井奈津美さんを迎えて、改めて乾杯!」

 おじさんたちとコップを重ねて乾杯しました。四つのコップに囲まれるように、かちん、とわたしのコップが中央で鳴りました。冗談なのか、本気なのか、『女神様』という言葉がやけに耳に残りました。

 「か、乾杯…」

 そっと口をつけます。冷たいビールが、乾いた喉を通っていきました。

 「おお、いい飲みっぷりだ。女神様はいける口なんだね」
 「女神様ってことは弁天様か? お供物のお酒はいっぱいお召し上がりになるんだろうね」
 「少々濃いお酒も大丈夫そうだね」
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