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路地裏文化研究会
第6章 広がる妄想
 中村さんがにっこりと笑って、座っていた元の席に戻りました。わたしも、おでんの入った器を手に取りました。何事もなかったかのように装いながら…。

 「そうかぁ、昔から歴史や文化が好きなんだね」
 「神社、仏閣なんかも? いいねえ。是非、行ってみたいところをリクエストしてよ」
 「そうそう。路地裏じゃなくても全然かまわないしね。精一杯、ご案内させていただきますよ」
 「よかったよねぇ。こんないい人が入ってくれるなんて」

 ようやく本来の話題に移ったようです。

 「ありがとうございます…」

 歓迎してくれるおじさんたちにお礼を言いました。

 「それにしても、本当によく来てくれたよねぇ。志望動機は?」
 「なんだい、”志望動機”だなんて。採用面接じゃあるまいし…」
 「あ…実はそれなんです…」
 「”実は”って?」
 「わたし、そろそろ就職活動も始めなければいけないのですけど、なんていうか、自分に自信がないというか、とにかくこのままじゃいけないんじゃないか、って思い始めて…」
 「自己変革が必要だと思ったっていうこと?」
 「”自信がない”なんて思う必要ないんじゃないの? すごく魅力的だよ」
 「そんなことないです…。アルバイトもサークル活動も何にもしてなくて…。履歴書に書けること、何にもないんじゃないかって…」
 「自分じゃわからないだけだよ。魅力的だよなぁ?」
 「そのとおり。ボクが担当者なら即採用だね」
 「まさか…」
 「自信なんで、後からいくらでもついてくるよ。何事も経験だからね」
 「そうそう。経験、経験」
 「いくらでも応援させてもらいますよ…。ささ、もう一杯どうぞ…」

 そんな会話をしながら、お酒を呑んだりおでんを食べたり…。また、ズキズキと疼く感じが高まってきているような…。からだは火照ったままです。わたしの意識はすぐに別のところに移ります。

 (わたし、濡れてる…きっと…)

 「あ、あの…、お手洗いお借りしてもいいですか?」
 「ああ、はいはい。ご案内しますよ」

 中村さんが立ち上がりました。

 「階段、気を付けてね」

 中村さんに続いて、そろそろと階段を下りていきます。

 「ありがとうございます…」

 お手洗いで、パンティを下ろしました。…びっくりするくらい、濡れていました。
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