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路地裏文化研究会
第9章 有害図書たちとの出会い
 わたしが初めて、いわゆる有害図書と出会ったのは、中学校からの帰り道の空き地に打ち捨てられた段ボール箱からでした。

 段ボールは、『〇〇みかん』と印刷されているような箱で、ひしゃげて口が開いたまま放置されているような感じでした。

 何気なく中を覗き込むと、雑誌や本が無造作に詰め込まれていて、見慣れない写真…見慣れないというか、いけないものを見てしまったような感覚にとらわれましたが、ずっと隠されていた誰かの秘密を覗いてしまったような高揚感があって、目を離すことができませんでした。

 「いけないものを見てしまった」と感じながらも、気が付くとわたしは、箱から数冊を家に持ち帰っていました。見てはいけないとされるものほど、その中身を確かめたくなる気持ち…怖さと興味が入り混じった気持ちだったと思います。もちろんそれは性的なものへの怖さと興味だったのですが。

 そんな箱が、空き地に放置されていたという状況も、「誰のものでもないのなら少しだけなら」という気持ちを後押ししたのだと思います。見てもいけないものを見るだけでなく、さらには持ち帰るという行為も、禁忌に触れることではありますけど、当時のわたしはまだ幼くてそういう分別がなかったのだと思います。性的な興味や関心はまだぼんやりとした曖昧なものだったと思いますが。

 逆に、もっと大きくなってから初めて放置された段ボール箱に出会っていたら、人の目を気にする年頃にもなっていて、性的な興味や関心が明確になっていても、持ち帰るという行為はためらっていたような気もしています。

 実際のわたしは、大きくなってからもそういう本や雑誌に遭遇したら、こっそりと家に持ち帰っていました。もちろん、誰かに見られていないか細心の注意をしてのことでしたが、分別がつくまでに身についてしまった有害図書への憧れを捨てることはできなくなっていました。

 通学で使っていた駅の前には『白ポスト』がありました。

 『有害図書・雑誌はこのポストに入れてください。青少年保護のためご協力をお願いします』

 白ポストの前を通るたびにわたしはひとりドキドキとしていました。それは絶対に人には言えないわたしの嗜好のせいであり、できることなら白ポストの中身を持ち帰りたいと思う邪念のせいでもありました。
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