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路地裏文化研究会
第12章 メモ
 「まあ、それはいくらなんでも。まずは探検してみてから考えればいいんじゃないのかい」

 ちょっとほっとしました。

 「5人でポストを取り囲んでわいわいって訳にもいかないよな」
 「遠くから眺めてあれこれ思いを致せばいいんじゃないの」
 「いいね。研究会活動らしいや」
 「なんで愛おしいのだろうね」
 「じゃあ、次回は〇〇の駅前に集合しましょう」

 そのようなことで、〇〇駅の前にメンバーが集まった。

 「ありますね、白ポスト」

 駅前のキオスクの横に電柱が立っている。白ポストはその横に隠れるように立っていた。目立とうとしているわけでもないのに、見つけてしまうと目が離せなかった。わたしたちは、じりじりと白ポストに近付いていく。

 「なんて書いてあるのかな」

 【青少年の健全な育成のため 家庭にお持ち帰りのできない 雑誌・週刊誌などは このポストに入れてください】

 ポストの口の下には、そのように書かれている。

 「達筆だね」
 「上手だね。きれいだ」

 側面にも同じ達筆で文字が書いてある。

 【青少年を非行から守りましょう】

 「やっぱり非行なのかね。ああいう本を見たりするっていうのは」
 「本に書いてあることに影響されて非行に走る、っていうことなんじゃないの?」
 「本の中身によるんじゃないのかね」

 本の中身や、本を見て何をするか…。わたしも立派な非行少女…いや、一応成人しているから『少女』ではないけれど。

 「『家庭に持ち帰れない』っていうのがいいね」
 「家長の威厳に関わるってことかね」
 「先読みしているね。素直に子供には見せられないから、ってことでいいんじゃないの」

 一人暮らしをいいことにわたしの部屋で増殖を続けている有害図書たち。いつかわたしも、ここに捨てに来るのだろうか。

 「鍵がかかっているってことは、鍵の持ち主がたまには回収しているのだろうね」
 「どれぐらいで満杯になるんだろうね」
 「満杯にならなくても回収しているんじゃないの? 郵便ポストには回収する時間が書いてあるけどね」

 近くで見ればハッキリするのだろうけど、そこまで近づくでもないわたしたち。
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