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夜空に煌めくアラベスク
第10章 やぎ座の女
夫が亡くなって早10年…
当然の事ながら義弟の宗二もそれなりに老けてきている。
きっと夫も生きていれば、このような感じになってきたのだろうかと、美味しそうに定食を頬張る義弟の宗二を見つめてしまっていた。
「何?僕の顔に何か付いてる?」
和代の眼差しに気づいた宗二が、箸を持つ手を止めてこちらを見つめる。
「いえ、何でもないの…ごめんなさい」
ドキドキした…
義弟の宗二と今までこんなに間近で見つめあったこともなかったから尚更だった。
「食事が終わったら送っていくよ」
「いえ、そんな悪いわ…」
「言ったろ、兄貴を偲んで献杯したいって」
ほら、兄貴が好きだったワインを、こうして用意してきたんだよと紙袋から少しだけワインのボトルを見せて微笑んだ。
「車だからさ、外で飲むと運転できなくなるから、お義姉さんの家で兄貴の遺影を交えて三人で飲みたいんだ」
夫を偲んでいただけるのだと思うと、独り暮らしの部屋に上がり込んでもらいたくはないのと言い出しにくくて、そのままなしくずしに彼を部屋に招いてしまった。
「ほら、兄貴。この銘柄のワインが好きだったろ?」
ワイングラスにワインを注いで、夫の遺影の前に置いて「じゃあ、僕らも献杯といきましょうか?」と二つのグラスにワインを注いでくれる。

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