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Sturm und Drang-疾風怒濤-霞んだ空の向こう側
第6章 引越
心美の引っ越しを恵樹が知らなかったのかどうか、貫太郎が言い出して疑義が持ち上がっていたが、郁美が心美の要領の良さからして、恵樹を利用するだけして、黙って引っ越したというストーリーができていた。

しかし、実際には、恵樹は心美の引っ越しについて、知っていた。テスト範囲を伝えに来た恵樹に、

「ありがとう。でも、もう内部進学テストは受けないから」

と、伝えた心美。

「そうなんだ。俺も受けないよ。外部受験をするから」

恵樹が伝えると、その恵樹の目を見る心美。

「えっ?そうなの?」

心美の瞳に宿る好奇心。

「そうだよ」

恵樹は答えた流れで、学校名を伝えた。心美は驚いた様子で、頷いて、自分の進学する高校の名前を伝えた。

「女子校に行くんだ」

恵樹も驚いた。

「そう。制服が可愛いから、今から楽しみなの。制服が来たら見て欲しいけど、その前に、引っ越すから、残念。でも、どこかで会おうね」

心美が微笑んだ。頷いた恵樹。そんなやりとりがあった。だから、恵樹は知っていた。でも、

「退学することも引越することも秘密にしてね」

と、心美に言われた恵樹。誰にも話さなかった。
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