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Sturm und Drang-疾風怒濤-霞んだ空の向こう側
第8章 告白
いつもと様子の違う朋華に驚く恵樹。そして、梨々香。もう時間がない。卒業したら会えないし、思いを伝える機会なんて訪れないかもしれない。朋華は必死だった。
「わかったよ」
恵樹が答えた。でも、朋華は恵樹の腕を握ったまま、引っ張って、自分の席まで連れて行った。梨々香もいつもと違う朋華に驚いていた。自分の机に掛けていたバックパックを掴むと、背負いもせずに、恵樹の腕を掴んだまま、
「行こ!」
と、恵樹の腕を引っ張った。恵樹が、
「うん」
と、頷くと、手をつないだ朋華。チラッと梨々香の様子を確認して、教室を出た。その様子を見ていた担任の横浪が、
「稲葉。モテる男はツラいな」
と、だけ言って頭を掻いた。そんな横浪に一瞥をくれて、恵樹と手を繋いで歩く朋華。
「いいのか。元カレを取られるぞ」
横浪が梨々香に笑いながら言った。
「そんなことより、先生も、いい加減、結婚したら?」
梨々香は言い返しながら、カバンを肩に掛けて、教室を出て行った。
廊下の窓から下を見ると、朋華と恵樹の姿が見えた。朋華は恵樹を急かした。
「心美ちゃんと話していた公園のベンチで話したい」
朋華が言ったからだった。恵樹にしてみれば、なぜ、公園のベンチで心美と話していたことを朋華が知っているのか疑問だったが、心美と仲の良かった朋華なら心美から聞いていたのかもしれないとくらいにしか思わなかった。
「早く!」
朋華が恵樹の手を引っ張って階段を降りて、昇降口から出た。振り返った朋華。窓から顔を出して見ている梨々香に気がついた。余裕がある感じの梨々香。
ハグとキスをしている関係がその余裕を生んだのなら、後悔させてあげる。私は、あなたに負けない。絶対、恵樹をあなたには渡さない!
その決意で梨々香を見上げた朋華。
校門に続く緩やかな下り坂を朋華に引っ張られるように降りて行った恵樹。
その後姿を見て、
ヤバいかも・・・。
と、梨々香は思った。慌てて階段を降りて、後を追いかけた。頭に過ったのは、幼稚園の頃の劇『ウサギとカメ』。私はウサギなのかもしれない。とすると、朋華はカメ。なんとなく似ている。なんでも手早く駆け回る自分と、いつもおっとりでハッキリしないし、動きも遅い朋華。でも、その朋華が、おっとりとハッキリしない性格を無理やりにでも変えて、動いた。「山は動いた」そんな気がした梨々香。
「わかったよ」
恵樹が答えた。でも、朋華は恵樹の腕を握ったまま、引っ張って、自分の席まで連れて行った。梨々香もいつもと違う朋華に驚いていた。自分の机に掛けていたバックパックを掴むと、背負いもせずに、恵樹の腕を掴んだまま、
「行こ!」
と、恵樹の腕を引っ張った。恵樹が、
「うん」
と、頷くと、手をつないだ朋華。チラッと梨々香の様子を確認して、教室を出た。その様子を見ていた担任の横浪が、
「稲葉。モテる男はツラいな」
と、だけ言って頭を掻いた。そんな横浪に一瞥をくれて、恵樹と手を繋いで歩く朋華。
「いいのか。元カレを取られるぞ」
横浪が梨々香に笑いながら言った。
「そんなことより、先生も、いい加減、結婚したら?」
梨々香は言い返しながら、カバンを肩に掛けて、教室を出て行った。
廊下の窓から下を見ると、朋華と恵樹の姿が見えた。朋華は恵樹を急かした。
「心美ちゃんと話していた公園のベンチで話したい」
朋華が言ったからだった。恵樹にしてみれば、なぜ、公園のベンチで心美と話していたことを朋華が知っているのか疑問だったが、心美と仲の良かった朋華なら心美から聞いていたのかもしれないとくらいにしか思わなかった。
「早く!」
朋華が恵樹の手を引っ張って階段を降りて、昇降口から出た。振り返った朋華。窓から顔を出して見ている梨々香に気がついた。余裕がある感じの梨々香。
ハグとキスをしている関係がその余裕を生んだのなら、後悔させてあげる。私は、あなたに負けない。絶対、恵樹をあなたには渡さない!
その決意で梨々香を見上げた朋華。
校門に続く緩やかな下り坂を朋華に引っ張られるように降りて行った恵樹。
その後姿を見て、
ヤバいかも・・・。
と、梨々香は思った。慌てて階段を降りて、後を追いかけた。頭に過ったのは、幼稚園の頃の劇『ウサギとカメ』。私はウサギなのかもしれない。とすると、朋華はカメ。なんとなく似ている。なんでも手早く駆け回る自分と、いつもおっとりでハッキリしないし、動きも遅い朋華。でも、その朋華が、おっとりとハッキリしない性格を無理やりにでも変えて、動いた。「山は動いた」そんな気がした梨々香。

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