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シアター"名画座"で逢いましょう
第11章 初めての職質
今日も清々しい一日になりそうだな…
派出所の宮前巡査長は白く塗られた警察の警ら用の自転車に跨がり、商店街を疾走していた。
すっかり寂れてしまった商店街…
どこもかしこもシャッターを降ろして今ではゴーストタウンのようだ。
宮前巡査長は、これといった手柄もなく、今年で62歳になるから定年退職が目前に控えていた。
退職金は2,000万円ほど貰える算段だ。
この退職金を元手に、田舎に戻って古民家カフェを開くのが彼のささやかな夢であった。
この街の派出所勤務となって42年…
当時は商店街にも活況があって、夜の警らともなれば、居酒屋の飲んだくれオヤジたちの喧嘩の仲裁で忙しかったものだ。
ひしめき合って立ち並んでいた居酒屋も、今では数件となって、飲んだくれて悪酔いして喧嘩する奴もいなくなり、平和そのものだった。
ただ、商店街の片隅に成人映画館とラブホテルが並んで建っていて、夜ともなれば淫靡な雰囲気を醸し出すが、昼日中だとほとんど人気(ひとけ)もなく特に目を光らせる必要もなかった。
時代の流れとも言うべきか、商店街を含むこの街の一角はすべて取り壊しとなり、大型スーパーが進出してくるという。
そうなれば、ゲームセンターなども出店してきて、中学生や高校生の溜まり場となるだろうから、巡回するのも忙しくなるだろうなと思った。
まあ、スーパーが出来る頃は、俺は退官しているし、知ったこっちゃねえなと、そんな面倒なことは後輩たちが頑張ればいいんだと他人事のように考えていた。

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