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シアター"名画座"で逢いましょう
第11章 初めての職質
平和な街…
それは良いことなのだろうけど、裏を返せば寂れた街の象徴だ。
こうやって警らをしていても、まるでサイクリングでもしているかのような穏やかさであった。
そして商店街の外れに差し掛かり、寂しさに淫靡を追加したような例の成人映画館を横目で眺めながら通りすぎようとして、宮前巡査長はギョッと目を見張った。
なんともこの界隈には不釣り合いなミニスカートを履いた色気たっぷりの女が映画館とラブホテルの境目の植え込みの木陰に佇んでいたからだ。
『ほぉ~…かなりのべっぴんさんだねえ…
見かけない顔だな、この街の住人じゃなさそうだ』
派出所勤続40数年、小さなこの街の住人の顔はほとんど頭の中に入っている。この街の住人ではないことは一目見ただけでピンとくる。
『派手な格好をしてラブホテルの前で待ち合わせかよ。
こりゃ、立派な不倫だな。こんないい天気なのに男とラブホテルの前で落ち合って、そのままご休憩って訳か…
こんな堅物の俺にはわからない世界だな』
もしかしたら立ちんぼう(売春婦)か?と、そんな思いも頭の中によぎったが『まさかこんな昼日中から立ちんぼうのわけないか』と事なかれ主義の宮前巡査長は日菜子を見てみぬフリをして通り過ごした。

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