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シアター"名画座"で逢いましょう
第15章 二組のカップル
喉がカラカラだったので、水を飲もうとキッチンに向かうと、同じタイミングで夫の広がトイレから出てきた。
「あら、あなたも起きちゃったの?」
「どうもソファで寝るってのは背中と腰が痛くてね、爆睡は出来なかったよ」
そんな寝にくいソファでも、十和子はお構いなしに深い眠りから覚めることなくスースーと寝息を立てている。
「起きたついでだ…役所に行くか?」
一眠りしてからも離婚の約束はしっかりと覚えてくれていたのか、夫の広から役所に出向くことを言い出した。
「あなた、本当に私と離婚してくれるの?」
「おいおい、何だ今さら…離婚を切り出したのはお前だろうが」
夫の広はすでに踏ん切りが着いているようで、少し不安になってきた日菜子を急かした。
「朝倉さんと十和子さん…起こしましょうか?」
「ぐっすり寝てるんだろ?そのまま寝かせておいてやれよ」
車のスマートキーを手にすると「ほら、急げよ」と広に尻を叩かれ、モヤモヤした気分のまま日菜子は部屋を後にした。
「あなたとこうしてドライブするのもこれが最後ね」
「ドライブってもんじゃないだろ。役所に行く手段のひとつでマイカーに同乗してるだけの話じゃないか」
ドライな広と違って、日菜子は少しばかりセンチメンタルになってしまう。
結婚してすぐに手にいれたこの車で、新婚当時は遠くの街にまで観光に出掛けたものだ。
山道を走り抜け、高原に到着すると、誰もいないのをいいことに、景色を見るよりも先に車のシートを倒してカーセックスに興じた。
新車のシートに自分が流した愛液でシミを作ってしまったことさえ懐かしい。

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