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愛する男と人妻美香の秘め事
第37章 熊本旅行・終焉(5)
来た時はスカスカだったパーキングが徐々に車で埋まり始めてきた。まだフライトまで時間はあるから暫くはここに居たって大丈夫なんだけど、一人で座っていることに少し飽きてきたし、後ろにある建物も気になってきた。気づくと彼の姿は豆粒のように小さくなっていて、小山まであともう少しのところまで行っている。

(ほんまに行っとるわ、あの人)って思いながら、彼にラインを送ってみた。

「暇やから、後ろの建物の中でも見とくわ」と送信。

すると、走っていた彼が立ち止まった。その反応がなんだかリモコンで動くロボットみたいな反応だったので、可笑しくて思わず声を上げて笑ってしまった。

「ええよ。もうすぐしたらつくから、そこで舞っといて」と彼からの返信。
(舞っといてって?・・待っといて、の間違いやろ。息あがって、手、震えとるやん)

私は腰を上げ、踵を返すと建物へと歩を進めた。建物の中には外よりも少しヒンヤリとした空気が流れている。建物は山ノ駅物産館という名前のギフトショップ。郷土のお菓子や食べ物、お酒が所狭しと置かれている。甘い匂いが館内に漂っている。特に何か買おう、っていう目的もなくブラブラしていると、

(ああ、ここにもあった、このお菓子)

黒川温泉にもあった「いきなり団子」。熊本の有名な郷土お菓子ですから是非、と旅館の中居さんにも勧められたんだわ。

(車の中か空港の待ち時間にでも食べようっと)と思い、いきなり団子と栗千里という名前のお菓子を数個買った。せっかく熊本まで来たんだから、と思いネットで予め調べておいた熊本名物・辛子蓮根も買った。建物の中には、阿蘇牧場の「ASOミルク」を存分に生かしたアイスクリーム、と書かれたポップが何枚も張られている。

(美味しそう。食べたいな)とは思いつつ、これはIくんが帰ってきてから、食べるかどうか決めようと思い、買ったお菓子を持って建物から出た。まだIくんは帰ってきてない。どこにいるのかすら分からなくなっている。

さっき座っていた散策道に腰を下ろしたが、やはり暇なのでパート先のグループラインをチェックした。

(レセコンが不調で薬袋が出せません)
(業者は?)
(もう少しで来てくれるそうです。それまで手書き薬袋で対応します)との内容。

大変そうね、と思いつつ「まだですか~待ちくたびれたんだけど」と汗をかく絵文字を添えて彼にラインを送った。
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