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影を背負った愛~足りない愛を、君に
第16章 会社で疼く恋~平日の秘密の距離/火曜日~
火曜日 朝〜午後 企画部フロア

彩香の「好き避け」は、昨日の出来事と今日見た悪夢により悪化していた。

健治さんが自分のデスクに来るだけで、

資料を抱えて「ちょっと他部署に確認してきます」と席を立つ。

高浜さんや森川さんのところにわざと仕事の相談を持ちかけ、
健治さんの視線を感じるとすぐに目を逸らす。


LINEの返信も、以前より明らかに短くなった。


健治さん 11:45
昼、どうする? 今日も一人か?

彩香 11:47
え!!!!大丈夫ですよ(´・ω・`)
[ウサギがお辞儀するスタンプ]


健治さんはデスクで小さく苦笑した。

(……可愛いな。完全に好き避けしてる)


給湯室での抱きしめが、彩香の中で強烈に残っていた。
背中に感じた広い胸、耳元で囁かれた低い声、頰に落とされたキス——
あの感触を思い出すたび、会社で普通に接することができなくなっていた。

そして、あの悪夢の苦しい余韻もあった。


(……健治さんの温もり、まだ背中に残ってる気がする……
 あんなところで抱きしめられたら、普通にしていられるわけない……
そして何より、今日の悪夢みたいなことがもしあったら!)


彩香は資料をぎゅっと抱きしめながら、心の中で必死に自分を律した。


秘密を誰にも悟られないために、むしろ距離を置くことで自分を守ろうとしていた。

しかしその行動は、逆に健治さんの保護欲と独占欲をさらに刺激することになるのだった。
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