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影を背負った愛~足りない愛を、君に
第18章 会社で疼く恋~平日の秘密の距離/水曜日~
昼休み前 11時48分

休憩室にあるドリンクコーナーでコーヒーを淹れようとした彩香は、
ドアを開けた瞬間に健治さんと鉢合わせした。

「あ……」

彩香の瞳が大きく見開かれ、頰が一瞬で赤くなった。
給湯室で後ろから抱きしめられた記憶が、フラッシュバックする。

「大内さん……! す、すみません!」

彩香は健治さんの胸元を見ないように視線を落とし、
慌ててドアの横に体を寄せて道を空けた。

そのまま中に入らずに、結局

「忘れ物がありました……」

と小さな声で言い訳してその場を去ってしまった。

健治さんは休憩室の入り口に立ち、去っていく彩香の後ろ姿をじっと見つめた。

低く、ほとんど聞こえない声で呟く。

「……彩香」

口元に浮かぶのは、苦笑とも満足げな笑みともつかない表情だった。

(逃げれば逃げるほど、俺の中でお前を独り占めしたい気持ちが強くなる……
 本当に、罪な女だな)

胸の奥が熱く疼く。
保護したいという穏やかな想いと、もっと深く自分の色に染めたいという強い独占欲が、
同時に膨らんでいた。


14:30 会議室

小ミーティング中も、彩香は健治さんの視線を感じるたびに資料に目を落とし、
指先を小さく震わせていた。

以前のように自然に意見を述べることもできず、
必要最低限の返事しかできなくなっていた。

ミーティングが終わった後、健治さんは自分のデスクに戻りながら、静かに息を吐いた。

(……無理に普通にしようとして、余計に意識してるのが丸わかりだ)

健治さんは椅子に深く腰を下ろし、指で軽く口ひげを撫でた。
(可愛くて仕方ない……
 でも、あまり追い詰めすぎるのも可哀想か)

健治さんの表情は穏やかだったが、瞳の奥には熱が宿っていた。

(もう少しだけ、この好き避けを楽しもう。
 日曜日にお前の家に行ったら……たっぷり、逃げられないくらい甘やかしてやる)

47歳の男は、デスクの上で小さく拳を握り、静かに次の週末を思い浮かべていた。

彩香の好き避けは、水曜日も止まらないままだった。

それに対し、健治さんは表面上はいつも通りの落ち着いた課長を演じながら、
内心では彩香への愛おしさと独占欲をますます深めていくのだった。
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