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影を背負った愛~足りない愛を、君に
第18章 会社で疼く恋~平日の秘密の距離/水曜日~
夜 19時40分 会社近くの市民プール

「はあ……はあ……」

彩香はプールサイドで息を整えながら、長い髪を後ろでまとめていた。
小学校から中学まで水泳を習っていた彩香は、
ストレスが溜まるとこうして泳ぐのが唯一の息抜けだった。

今日は特に月曜からの出来事が頭から離れず、気分を変えたくて初めて仕事帰りに寄った。

シンプルな紺色の競泳水着に身を包み、眼鏡を外してゴーグルを着用した彩香は、
25mプールに入ってクロールを始めた。
水の冷たさが火照った体を優しく包み、徐々に心が落ち着いていく。

(……健治さん、今日もかっこよかったな……
でも、近づかれたらまた顔に出ちゃう……)

30分ほど泳いだ後、彩香は休憩のためにプールサイドに上がった。


タオルで体を拭きながら、ふと視線を遠くのレーンに移した瞬間——


(……え)

そこに、大内健治の姿があった。47歳とは思えないがっしりとした体躯。
肩幅が広く、胸板が厚く、腹部には適度な筋肉の厚みがある。
水に濡れた黒いスイムウェアが、その逞しい肉体をくっきりと浮かび上がらせていた。
整えられた口ひげが、水滴をまとってより男らしく見える。

力強い腕でクロールを切り、規則正しいストロークで泳ぐ姿は、存在感が抜群だった。

(……先週のLINEでプール行ってるって書いてたの、思い出した……
まさかこのプールだなんて……!)

彩香の顔が一瞬で熱くなった。

慌てて後ろを向き、逃げるように更衣室方面へ歩き始めた。
心臓が激しく鳴り、足がもつれそうになる。

しかし、数歩進んだところで、低く落ち着いた声が背後から響いた。

「……彩香」

彩香の肩がびくりと跳ねた。
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