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影を背負った愛~足りない愛を、君に
第18章 会社で疼く恋~平日の秘密の距離/水曜日~
振り返ると、健治さんがプールから上がったところで、タオルを肩にかけていた。
水滴が口ひげの先から落ち、逞しい胸を伝う様子に、彩香は思わず視線を逸らした。

「また、逃げようとしたな。
自分からした昨夜の約束を破るとは。罰を与えないとな」

健治さんは低く笑いながら、長い足で素早く近づいてきた。
濡れた手が彩香の細い手首を優しく、しかし確実に掴む。

「健治さん……ここ、会社近くで……誰か見たら……」

「誰もいない時間だ。俺も今、気づいたばかりだぞ」

健治さんは彩香の手を引いたまま、プールサイドの少し奥まった壁際まで連れて行った。

そして、躊躇なく彼女の体を抱き寄せた。

逞しい胸板が、彩香の冷えた体にぴったりと密着する。
口ひげの生えた顔がすぐ近くにあり、男らしい汗と水の匂いが彩香を包み込んだ。

「……んっ」

彩香は小さく声を漏らしながらも、抵抗できずに健治さんの広い胸に額を預けた。

水着越しに伝わる彼の体温が、胸の奥を甘く疼かせる。

「普通に接するどころかずっと俺を避けてるのが丸わかりだぞ」

健治さんは低く囁きながら、彩香の背中を大きな手で優しく撫でた。

「可愛いけど……俺をそんなに意識しすぎて疲れてないか?」

「……だって、普通に接しようと誓っても、給湯室で抱きしめられたこととか今までの出来事のこと頭から離れなくて……
会社で顔見るだけで、変な顔しちゃいそうで……」

彩香は健治さんの胸に顔を埋めたまま、恥ずかしそうに小さな声で答えた。
健治さんは満足げに口元を緩め、口ひげを軽く指で触りながら、

もう片方の腕で彩香をより強く抱きしめた。

「逃げなくてもいい。
俺は彩香が頑張って普通に振る舞おうとしてる姿も、好きだぞ。
……でも、こうして二人きりの時は、ちゃんと甘えていい」

彩香は耳まで赤くなりながらも、健治さんの逞しい背中にそっと手を回した。
水着姿で抱き合う密着感に、下腹部がじんわりと熱くなるのを感じて、
太ももを軽く閉じ合わせた。
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