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影を背負った愛~足りない愛を、君に
第20章 会社で疼く恋~平日の秘密の距離/金曜日~
<健治SIDE>

13時〜14時20分 13階ミーティングルーム 会議中

田中部長を議長に、企画部と営業部の合同進捗会議が始まった。
テーマは来期の新商品プロモーション戦略。
資料が並ぶテーブルの上座に座る健治は、
いつものように落ち着いた低音で意見を述べていた。

「こちらのターゲット層は中古住宅を中心に据えるべきです。
 感情に訴えるより、信頼感と安定感を前面に出した方が効果的かと」

隣に座る矢賀部浩一は、細身の体を椅子に預けながら、
ペンをくるくる回しつつ軽口を挟む。

「大内さん、相変わらず渋くて説得力あるねぇ。
 俺なんか『カッコよく見せよう!』とか言っちゃうタイプなんだけどさ(笑)」

田中部長が苦笑しながら頷く中、健治は表情を変えずに淡々と進行を進めた。

しかし内心では、
さっきミーティングルームで彩香と鉢合わせた時の彼女の赤い顔と震える声が、
ずっと頭に残っていた。

(……彩香、あの後ちゃんと仕事できているのか……?)

矢賀部は時折、健治の横顔をチラチラと観察していた。
先週の喫煙室でのぼーっとした様子、
そしてゴルフ懇親会での明らかに機嫌の良い雰囲気
——

二つの記憶が、矢賀部の頭の中で繋がり始めていた。
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