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影を背負った愛~足りない愛を、君に
第9章 朝の深吻と、ピンクに疼く水曜日
エレベーターが13階に到着する合図の音が鳴った瞬間、
健治さんはようやく唇を離した。

彩香の唇は赤く腫れ、瞳は潤んでいた。

「……朝から、こんな……意地悪です……」

彩香が荒い息を吐きながら上目遣いに睨むと、
健治さんは口ひげの端を軽く指で触れ、満足げに低く笑った。

「可愛い顔が見たかっただけだ。
……我慢しろ。今日も一日、ちゃんと『大内さん』を演じるから」

また、健治さんは一息ついてこう告げる

「大体。彩香…お前が可愛すぎるのが悪いんだ。……朝礼まで、まだ時間はあるぞ」

彩香の顔が恥ずかしさから赤くなった。


(本当は今すぐこのまま抱き上げて、どこかへ連れ去りたい……
でも、彩香のためにも我慢しなければ。
金曜日まで、俺はちゃんと課長を演じる。……その分、土曜日はたっぷり甘やかしてやる)


エレベーターのドアが開き、二人はいつもの上司と部下の顔に戻ってフロアへ降り立った。


朝8時15分のオフィスビルで、二人のエレベーター内の秘密の出来事から、朝が始まった。
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