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影を背負った愛~足りない愛を、君に
第10章 言えない夜の吐息 ~土曜日までの不安~
同じく木曜日 夜20時 市民プール

健治は、週に二回のペースで通う市民プールで2時間の水泳を終えた。

プールサイドを歩く彼の姿は、47歳とは思えない安定感があった。

深く刻まれた皺、鋭い眼差し、鼻の下に整えられた口ひげが、
男らしい色気を漂わせた中背ながら適度な肉付きのあるがっしりとした体躯は、
鍛え上げられた逞しさを物語っていた。
更衣室のロッカールームに戻り、濡れた髪をタオルで拭きながら、
健治さんはため息を漏らした。

(……彩香の様子が気にかかる……)

先週金曜の夜に初めて結ばれて以来、彩香のことが頭から離れない。
昨日、水曜日から彩香の様子が少しおかしいことに気づいていた。
視線を逸らしたり、急に元気がなくなったり……
何か隠しているような気がして仕方ない。

(体調が悪いのかもしれない……それとも、俺との関係で何か悩んでいるのか……)

ロッカーのベンチに腰を下ろし、スマホを取り出した。
彩香に送るメッセージを考えながら、健治さんは静かに目を細めた。

(彩香は純粋で素直すぎる子だ。
隠し事が苦手なくせに、何かを一人で抱え込もうとしている……
それが俺のせいだとしたら……)

胸の奥が重く締め付けられる。過去の自分が脳裏をよぎったが、
健治さんはすぐにその考えを振り払った。

(……今は彩香のことを考えよう。
俺はもう、あの頃の最低な自分じゃない。
彩香を傷つけたくない。ちゃんと守りたい……)

彼はスマホの画面を見つめ、ゆっくりとメッセージを打ち始めた。

健治:
今日もお疲れ様。
今、プールから上がってロッカールームにいる。
今日も一日頑張ったみたいだな。
彩香、今日……少し顔色が悪そうに見えたけど、大丈夫か?
土曜日は楽しみにしてるぞ。体調優先でな。
何かあったら、遠慮なく言ってくれ。

俺はいつでも彩香の味方だ。おやすみ。

送信した後、健治さんはスマホを握ったまま、静かに息を吐いた。

(……彩香……
お前が何かを隠しているなら、俺に話してほしい。
一人で抱え込まないでくれ……)

更衣室の冷たい空気の中、健治さんは彩香の笑顔を思い浮かべながら、
ゆっくりと着替えを始めた。
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