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壊滅の刻
第7章 暗闇
電気自動車のバッテリーが底をつき、ガソリンを使い切り発電することもできず、そもそも自動車もない家も多く、太陽光パネルは火山灰に覆われ、そもそも、日射もほとんどない都内。

朝なのか昼なのか夜なのか、それすらも明確ではない暗闇に覆われた。

医院も病院も自家発電設備を持っていたが、それも、燃料がある間のことだった。一般家庭よりは長く稼働していた発電設備も、ついに燃料が底をつき、停止。医療提供も困難になった。

航空輸送は空港の閉鎖で完全停止。鉄道も架線が切れ、運行停止。動くのは、気動車に限られ、それも、線路上に積もった火山灰で通行止め。移動手段は、歩行のみ。

都内から脱出するには歩いていくしかない。向かう先は「北」しかなかったが、火山灰と降雨で泥濘と化した道路は、それすらも困難にしていた。

長靴は踏み込むと脱げ、スニーカーは泥まみれになりまとわりつき、家から数歩で戻る選択しかなくなる有様だった。

こうなると、閉じこもるしかない。

しかし、屋根に積もる火山灰は増えることはあっても減ることはない。降雨では流れ落ちるどころか、へばり付くだけで、屋根の上に火山泥が積み上がり、その重さで倒壊する木造住宅が増えた。老朽化した家屋はもちろんのこと、新築でも建材の高騰で安価な建材を使用した家は次々に倒壊し、鉄骨の家は辛うじて、その重みに耐え、木造でもパネル工法などの面で支える家は、辛うじて耐えた。しかし、旧来からの軸組工法の家は、度重なる揺れと、その後の火山灰の重さに耐えかねて、倒壊する家が増え始めていた。

降りしきる火山灰が泥となり、側溝、雨水管を詰まらせ、道路は火山泥で冠水し、経済活動は完全に停止した。

被災しなかった九州北部、中国地方、北陸、東北などからの支援活動が始まったが、その支援活動も、火山灰と火山泥に阻まれ、周辺部はともかく、都内へはたどり着けない状況だった。

さすがに自衛隊は、火山泥に覆われた道路でも突破して支援活動を開始していたが、都内の人口に比して、その支援は微々たるものだった。

そもそもが、都内の世帯数、人口が多すぎたのだ。一極集中の悲劇といえば安直だが、それが事実だった。
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