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壊滅の刻
第8章 鎌倉
和弥にコクられて付き合い始めたはずの麻美。でも、この災害で和弥に依存し始めていた。年老いた祖父母と一緒ということが拍車をかけた。
スマートフォンは電池切れ。そのうえ、固定電話も伝線があちらこちらで切れて普通。テレビも映りは悪く、情報源はラジオ。祖父がオールナイトニッポンなどの音楽を聴く趣味があったために、高性能のラジオがあって、古いからか電池式。祖父は、電池だけは大量にストックしていた。さすが、昭和の男。だから、その面では災害用のラジオしかない南平台町の家よりは良かった。
地響きと降灰と続く鎌倉。都内はさらに飛散な状況の様だった。NHKは渋谷にある。その周辺の状況だけは、NHKで流れる。その状況は、ほぼそのまま南平台町の状況。
そして、和弥の住んでいる鶯谷町も、同じだと思えた。
祖父が隣の住人に話を付けてくれた。隣は若い夫婦ということもあって、バッテリーを複数、家に置いていた。だから、スマートフォンの充電をしてくれることになった。
礼を言って、充電をさせてもらった麻美。充電が終わるまで、夫婦と話した。奥さんのお腹の中には、第一子がいるということだった。
こんな状況で、出産…。妊娠5カ月。あと、5カ月。災害は終わっていればいいけど…。終わると思いたいのは誰も一緒だった。
「ありがとうございます。大事になさってください」
それだけを伝えて辞去した麻美。夫婦は、大きく頷いて、見送ってくれた。隣だというのに、移動だけでも大変だった。祖父の家が大きすぎた。庭を出るだけで一苦労だった。当然、帰宅する際も同じ苦労がいる。
ぬかるむ火山泥の積もった庭を歩いて戻った。
玄関にはロウソクの代わりに、線香。線香の煙が舞う。その香りを吸うと心が落ち着く。廊下のロウソクから玄関が微かに明かりが届く。
ロウソクを目印に麻美は和室に入った。そこが麻美の居場所。隣の居間には祖父母がいる。
「啓介と連絡が取れるかい?」
祖父が言った。啓介。大嫌いな父の名前。でも、そんなことはどうでもよくなっていた。嫌いだったけど、会えないとなると会いたいと思った。母にも会いたい。
LINEを起動した。大量のメッセージ。家族LINEは200を超えていた。その随分と下に、和弥のLINE。
「え?」
麻美は黙り込んだ。なんで、1件。和弥のLINEの数字は、1だった。
スマートフォンは電池切れ。そのうえ、固定電話も伝線があちらこちらで切れて普通。テレビも映りは悪く、情報源はラジオ。祖父がオールナイトニッポンなどの音楽を聴く趣味があったために、高性能のラジオがあって、古いからか電池式。祖父は、電池だけは大量にストックしていた。さすが、昭和の男。だから、その面では災害用のラジオしかない南平台町の家よりは良かった。
地響きと降灰と続く鎌倉。都内はさらに飛散な状況の様だった。NHKは渋谷にある。その周辺の状況だけは、NHKで流れる。その状況は、ほぼそのまま南平台町の状況。
そして、和弥の住んでいる鶯谷町も、同じだと思えた。
祖父が隣の住人に話を付けてくれた。隣は若い夫婦ということもあって、バッテリーを複数、家に置いていた。だから、スマートフォンの充電をしてくれることになった。
礼を言って、充電をさせてもらった麻美。充電が終わるまで、夫婦と話した。奥さんのお腹の中には、第一子がいるということだった。
こんな状況で、出産…。妊娠5カ月。あと、5カ月。災害は終わっていればいいけど…。終わると思いたいのは誰も一緒だった。
「ありがとうございます。大事になさってください」
それだけを伝えて辞去した麻美。夫婦は、大きく頷いて、見送ってくれた。隣だというのに、移動だけでも大変だった。祖父の家が大きすぎた。庭を出るだけで一苦労だった。当然、帰宅する際も同じ苦労がいる。
ぬかるむ火山泥の積もった庭を歩いて戻った。
玄関にはロウソクの代わりに、線香。線香の煙が舞う。その香りを吸うと心が落ち着く。廊下のロウソクから玄関が微かに明かりが届く。
ロウソクを目印に麻美は和室に入った。そこが麻美の居場所。隣の居間には祖父母がいる。
「啓介と連絡が取れるかい?」
祖父が言った。啓介。大嫌いな父の名前。でも、そんなことはどうでもよくなっていた。嫌いだったけど、会えないとなると会いたいと思った。母にも会いたい。
LINEを起動した。大量のメッセージ。家族LINEは200を超えていた。その随分と下に、和弥のLINE。
「え?」
麻美は黙り込んだ。なんで、1件。和弥のLINEの数字は、1だった。

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