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壊滅の刻
第8章 鎌倉
3日前。スマートフォンの電池がなくなった日。

和弥に、

「会いたい」

と、送って、既読が付く前に電池がなくなった。

あれから、1件しか送信していない和弥。和弥の返信は想定できた。

「会いたい」

への返事なら、

「俺も」

くらいだと思った。想定が当たっているか、和弥とのLINEをクリックしてみた。

「行くよ」

と、書かれていた。

「行くよ?」

麻美は声に出してしまった。想定外だった。鎌倉に来ていることは伝えていたはず…。南平台町なら鶯谷町から歩いて行ける距離。火山泥が道路を覆っていても、体力のある和弥ならたどり着ける。

でも、鎌倉はムリ。それにそもそも、鎌倉にいるとは伝えたはずだけど、住所も何も伝えたわけではなかった。

不安になってきた麻美。

まさか、

「いざ、鎌倉」

とか、鎌倉時代の御家人ではあるまいし…。とりあえず、鎌倉を目指して…。そんなことは無理。

隣の家に行くだけでも、ズブズブとはまる長靴を引っ張り上げて、一歩、一歩と進むのは、体力の消耗が激しいのに。

渋谷から鎌倉は約45㎞。電車でも1時間以上。歩いたら、10時間以上。しかも、それは通常時。今は噴煙が舞い、火山泥が道路を覆っている。

でも、「行くよ」って…。意味が…わからない。

家族のグループLINEを開いてみた。

父と母の写真。安否確認のためかもしれない。毎日、送っていた。

そこに母のアイコンで、

「和弥くんが来て、鎌倉の家を教えて欲しいと言われて、教えたわ。そっちへ向かうって。無理だって言ったのだけど、『麻美が会いたいって言っているから』と言って」

と、メッセージが…。

バカ。和弥、何を考えているの。

麻美が思った瞬間、大きく揺れた。地震振動なのか、令和の関東大震災の余震なのか、東南海地震か、南海トラフ巨大地震の余震なのか、わからなかったが、ガタガタと言い出して和室の照明が揺れていた。

和弥の両親は、なぜ、止めなかったの…。鎌倉の住所を教えた母もバカだけど…。そもそも、私に家に行くことを認めた和弥の両親の考えがわからなかった。

ネット上には、噴火情報と地震情報の両方が掲載されていた。

気温…。最高気温が11度。最低気温が8度。寒いという体感は間違いじゃない。
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